幸福学専門30年 筬島正夫が語る本当の幸せ


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カラマーゾフの兄弟(祝:亀山翻訳版完成)

2007-08-23 | 煩悩



亀山 郁夫さん翻訳の「カラマーゾフの兄弟」が大変好評の

ようですが、いよいよ完結しました。(コチラ


新訳「カラマーゾフの兄弟」異例のベストセラー 混沌の時代、生きるヒント(産経新聞) - goo ニュース

カラマーゾフの兄弟はドストエフスキーの最後の作品です。

 ※ドストエフスキーの五大長編小説
 (罪と罰、白痴、悪霊、未成年、 カラマーゾフの兄弟)

 

ドストエフスキーはこの大作を書き上げて

わずか80日後に世を去りました。

脱稿の日(1880年11月8日)に「ロシア報知」の

編集者に宛てた手紙には、

「私はまだ20年も生きて、書き続けるつもりです」と

書かれていたそうです。


 
 カラマーゾフの兄弟とは、
 
 フョードル(フョードル・バーヴロヴィチ・カラマーゾフ)
 
 の子どもたちのこと。
 
 すなわち
 
 
 ●ミーチャ(ドミートリー・フョードロヴィチ・カラマーゾフ)長男
 
 ●イワン(イワン・・フョードロヴィチ・カラマーゾフ)次男
 
 ●アリョーシャ(アレクセイ・フョードロヴィチ・カラマーゾフ)三男
 
 ○スメルジャコフ(カラマーゾフ家の下男だが、フョードルの子のよう)
 
 の3人、もしくは4人を指します。
 
 村上春樹「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」
 
 最後に「カラマーゾフの兄弟の名前を全員覚えている人が、
 
 日本にどれくらいいるだろう?」
と主人公に言わせていますね。

   

 ちなみに哲学者、ウィトゲンシュタインは「カラマーゾフの兄弟:
 
 をほとんど暗記していたようです。
 
  

さて、「カラマーゾフ」「の」「兄弟」と、「の」が入って

いるのが優れた翻訳であるといわれています。

普通は、「ライト兄弟」ですよね。

「ライトの兄弟」なんて聞いたことがない。


ではなぜ、「カラマーゾフ」「の」「兄弟」なのか。

「カラマーゾフ」は単なる固有名詞に留まらないからです。

「カラマーゾフ」とは、どんな意味でしょうか?
        

「カラ」はチュルク語で「黒」を意味しています。

「マーゾフ」「塗る」

なので、カラマーゾフを直訳すると「黒塗り」となります。

また「カラ」には「罰」という意味もあるそうです。

とすると「罰を塗られたもの」と読めます。

さらに「カラ」は泥棒の隠語で「男性性器」の意味も

持つとか。

また「カラ・ゲオルギイ」という親殺しの男の「カラ」から

とれば「黒い父親殺し」となります。

(※「カラマーゾフの兄弟は父親殺しの小説」)
  

つまり「カラマーゾフ」とは、東洋的にいうと「煩悩」という

ニュアンスです。「欲望まみれ」といってもいいかも知れませんね。

とすると、「カラマーゾフの兄弟」は

「欲望まみれの兄弟」

「罰に塗られた兄弟」

といった感じです。



こんなセリフも出てきます。

「カラマーゾフ一族はみんなそうなんだ。

 天使みたいなおまえの身内にも、この虫けらが住んでいて、
 
 おまえの血の中で嵐を巻き起こすんだ。
 
 これは嵐だよ。
 
 なぜって情欲というやつは嵐だもの、いや、嵐以上だもの!」
 

これは、三男のアリョーシャに対して言われているわけですが、

アリョーシャは、聖職者であり、いわゆる(天使のよぅな)人格者です。  
 
しかし、そのアリョーシャの心の中にも情欲の嵐が吹き荒れて

いるといわれ、アリョーシャもそれを認めるわけです。


さて、常にそうですが、何かを読むとき、学ぶとき、

自分と切り離した学問ではほとんど意味をなさないと

思います。

自分にも「カラマーゾフ」の血が流れていないか、

見つめてみることが大事でしょう。


仏教には「煩悩具足の凡夫」という言葉がありますが、

すべての人(凡夫)が、煩悩に目鼻つけた存在だといわれています。

万人にある欲望を描いたのが「カラマーゾフの兄弟」とも

いえるでしょう。

だからこそ、時代や国を超えて読み継がれているのだと

思います。

  (亀山郁夫さんのブログはコチラ

新訳「カラマーゾフの兄弟」異例のベストセラー 混沌の時代、生きるヒント(産経新聞) - goo ニュース

 以下、記事のん内容です。

新訳「カラマーゾフの兄弟」異例のベストセラー 
混沌の時代、生きるヒント

 ■男女の愛憎、幼児虐待、テロ…現代に通じるテーマ

 ロシアの文豪、ドストエフスキーの名著「カラマーゾフの兄弟」
 の新訳本が26万部を突破し、古典文学としては異例のベストセラー
 となっている。

 最終巻が出版された7月にはインターネットの文芸本ランキングで
 4週間連続のベスト10入り。
 旧訳本も相乗効果で売り上げを伸ばす。
 ミステリーとしてのおもしろさはもちろん、男女の愛憎や幼児虐待、
 テロリズムなど現代にも通じるテーマが、混とんとした時代を生きる
 現代人の心をとらえているようだ。


 ≪26万部突破≫


 「カラマーゾフの兄弟」は、1880年に出版されたドストエフスキー
 最後の長編小説。

 新訳は東京外国語大学教授の亀山郁夫氏が担当し、
 光文社古典新訳文庫から昨年9月、第1巻が出版された。


 新訳は全5巻。同社によると、これまでに計26万5000部を達成。
 同社翻訳出版編集部の川端博さんは「古典文学としては異例の売り上げ。
 増刷も決まり、30万部は固い」と期待を寄せる。


 最終巻が出版された7月中旬以降、インターネット通販「アマゾン」の
 文芸本ランキングで4週連続のベスト10入りを果たす人気ぶり。
 アマゾン広報も「古典文学のランク入りは珍しい」と話す。


 ≪東大教授も推薦≫


 世界文学の傑作のひとつと評される同著。
 日本でも、これまでに数多くの翻訳が出されているが、現在、
 市販されているのは、光文社の新訳のほかに、岩波文庫(米川正夫氏訳)と
 新潮文庫(原卓也氏訳)がある。


 新潮社営業部の河井嘉史さんは「光文社の新訳が出版される前から、
 ブームの兆しはあった」と話す。


 新潮社は、東京大学教授が新入生に読ませたい小説ナンバーワンに
 同著が選ばれているという東大出版会の月刊誌「UP」のアンケートに着目。
 芥川賞作家の金原ひとみさんが「上巻を読むのに4カ月。
 中、下巻はほぼ3日で読み終えた」と紹介した新聞書評にも目をつけ、
 昨年6月、文庫本の帯を作成したところ、これまでに、上、中、下巻
 合わせて約13万1000部と、爆発的に売り上げを伸ばしたという。


 河井さんは「帯と新訳本の相乗効果かもしれない」と話す。


 ≪なぜ今なのか≫


 なぜ今、「カラマーゾフの兄弟」なのか。


 光文社の川端さんは「亀山氏の新訳がリズムと勢いがあって読みやすく、
 若いころに読んで挫折した団塊の世代が読み直しているとともに、
 巧みな仕掛けがちりばめられたミステリーとしてのおもしろさが若い人に
 受けている」と指摘。

 そのうえで「19世紀末に書かれた作品だが、扱うテーマが、
 男女の愛憎、幼児虐待、テロリズム、父子・兄弟関係や貧困、宗教、
 国家など、現代にも十分通じている」と分析する。


 新訳を手がけた亀山氏も「この作品には運命とは何か、
 暴力とは何かという抽象的なことを、生々しく自分のこととして
 経験させる吸引力がある。
 運命を描くことで人間の存在の小ささを、また罪を描くことで
 人間の存在の大きさを表現している。
 人間の残酷さを直視して作品を書いたドストエフスキーの問題意識には
 現代性がある」と話している。


                   ◇


【メモ】カラマーゾフの兄弟


 物欲の強い父と、性格や生い立ちが異なる3人の息子、
 そしてもう1人の私生児が繰り広げる愛憎劇。
 父が他殺体で発見され、兄に嫌疑がかけられ裁判となる。
 人間の悪魔性、神性をえぐり出す長大な思想小説で、
 フョードル・ドストエフスキー(1821~81)の
 最高傑作といわれる。





  

2006年度大学入試出題No.1の本はどんな本?

2007-08-23 | 人生の目的



2006年度大学入試出題No.1の本はどんな本だと

思いますか?

答えは文化人類学の上田 紀行(うえだ のりゆき)の

「生きる意味」という本です。

  

30大学以上に出題され、出題率第1位となったそうです。

残念ながらこの本で「人生の意味」の答えが分かる訳では

ありませんが、問題定義は素晴らしいと思いました。

同時に教育界で「生きる意味」が一番のテーマとなっていると

いってもいいのだなと感じました。

しかし、現実はどうでしょう?

大学生が人生について考えるのが「よし」とされる風潮は

どれだけあるでしょうか?

「暗い」「あぶない」「そのうち宗教にはまるぞ」的に

見る人が多いのではないでしょうか?

それより「今日を楽しく、明日を明るく」という、

せつな的な生き方が主流に感じます。

浅い人生観

甘い人生観

が横行してはいないでしょうか?


この本の「はじめに」には次のように書かれています。

・・・・・・・・・・・・・

私たちがいま直面しているのは「生きる意味の不況」である。

一部屋に一台テレビがあるような暮らし。

一家に一台も二台も車があるような暮らし。

それはこの地球上で一握りの人たちにのみ許された豊かさである。

しかしその中で私たちは生きることの空しさを感じている。

自分がいまここに生きている意味が分からない。

自分など別にいなくてもいいのではないか。

自分が自分でなくてもいいのではないか。

(中略)

経済的不況が危機の原因だという人は多い。

しかし、私たちの多くは既に気づいている。

景気が回復すればすべてが解決するのだろうか。

問題の本質はもと深いところにあるのではないか。

私たちをこれまで支えてきた確かなものがいまや崩壊しつつ

あるのではないか。

・・・・・・・・・・・・・・・

そして、本文の最初には次のようにあります。

・・・・・・・・・・・・・・・


いま私たちの社会を襲っている問題の本質とは何なのだとうか。

それは「生きる意味」が見えないということだ。

いま日本社会のいたるところで起こっているのは、

「生きる意味」の雪崩のような崩壊である。

何故自分が生きているのかが分からない。

生きることの豊かさ、何が幸せなのかが分からない。

その「崩壊」がまず目に見える形で現れているのが若者の危機

である。

若者だから「夢」がある。

若者だから「生きる活力」に満ちているといったイメージは

既に過去のものとなった。

いつも疲れている。

何故生きているのかが分からない。

そういった若者がむしろ標準となりつつあるのだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

本の紹介には次のようにありました。

経済的不況よりもはるかに深刻な「生きる意味の不況」の中で、
「本当に欲しいもの」がわからない「空しさ」に苦しむ私たち。
時には命をも奪うほどのこの苦しみはどこから来るのか?
苦悩をむしろバネとして未来へ向かうために、
いま出来ることは何か?
生きることへの素直な欲求を肯定し合える社会づくりへ、熱い提言の書。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「なぜ生きる」というベストセラーであり、ロングセラーの

本の「はじめに」には、次のように書かれています。

  
 ※この本についてはコチラ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ママ パパへ
 わたしは いきていてもいみのない人げんです。
 わたしがいきていても みんながこまるだけです。
 ママパパ長いあいだおせわになりました。
 なにもいわず わたしをしなせてください。
 わたしはじごくでみんなのことをみまもっています」

 小学校二年の女の子の遺書である。
 自殺の増加と低年齢化に、世のなか戸惑っている。
 科学や医学などは急進したが、
 人類の闇はますます深まっているといえよう。
「強く生きよ」と励ます本が相次いでベストセラーになっているが、
「生きていても意味のない人間」と言われて、
どんな説得が用意されているのだろうか。
「生きよ生きよ」と連呼されても、
「人生は食て寝て起きてクソたれて子は親となる子は親となる」
「世の中の娘が嫁と花咲いてカカアとしぼんで婆と散りゆく」
禅僧・一休に人生の裸形を露出されると、むなしくこだまするだけである。

 戦争、殺人、自殺、暴力、虐待などは、「生きる意味があるのか」
 「苦しくとも、生きねばならぬ理由は何か」必死に求めても知り得ぬ、
 深い闇へのいらだちが、生み出す悲劇とは言えないだろうか。
 たとえば少年法を改正しても、
 罪の意識のない少年にどれだけの効果を期待しうるか、
 と懸念されるように、
 これら諸問題の根底にある「生命の尊厳」「人生の目的」が
 鮮明にされないかぎり、どんな対策も水面に描いた絵に終わるであろう。
「人生に目的はあるのか、ないのか」
「生きる意味は何なのか」
 人類は今も、この深い闇の中にある。

・・・・・・・・・・・・・

最も大切なテーマだと思います☆

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