今日、1月31日は、ノーベル賞作家の 大江健三郎の誕生日です。
1935年大江健三郎 (小説家『飼育』『性的人間』)1958年上期芥川賞/1994年ノーベル文学賞wikipedia - 大江健三郎
※写真 Author Thesupermat Kenzaburō Ōe at the conference of Paris Book Fair 2012. 18 March 2012
その大江健三郎の言葉に耳を傾けてみましょう。
いま世界中に、大人になれずに死んでいく子どもは非常に多い。それは驚くべき数です。その代わりに生きているんだという自覚は、日本の子どもに必要だと思いますね。それは、「なぜ、生きるか」という考え方の根本をなす条件だと思います。
『「自分の木」の下で』という子ども向けの本を刊行した時のインタビューで(きき手 大井民生)
http://yo-koda.sakura.tv/genbaku/siryo/2001/01-7-17-ooe.htm
今、生きているのは当たり前ではありません。
世界中で、どれだけ多くの子どもが亡くなっているかしれません。
死を通して人生を見つめてこそ、生きている実感が生じ、「限りある人生、なぜ生きる」という大切な問いも生まれてくるのでしょう。
いよいよ書籍化!? オリジナル小説『フライザイン』
もしかしたら、近い将来『フライザイン』が出版されるかもしれません。
「一カ月以内に、人生の目的を見つけられなかったら自殺する」という妹を助けるために、初めて生きる目的を探究し始めた兄と、愛する人が余命一カ月と宣告された天才哲学少女が出会う。そして……」という物語です。
小説『フライザイン』の続きです!
。。。
■4
頭の整理がつかぬまま、やっとの思いで妹の名前をつぶやく。
妹はそれには反応せず、人生そのものに疲れたようなため息をつき、ゆっくり僕に顔を向けた。
「お兄ちゃん……」
「ん、ん?」
「お兄ちゃんが病院に連れてきたのですか?」
「あ、ああ」
僕は次の言葉に期待を込めた。が、それは一瞬で吹き消された。
妹は、吐き捨てるように「余計なことを」と言ったのだ。
「え?」
「邪魔しないでください」
「おい、なあ春奈」
妹は反対側を向いてしまった。
「もう、いいです」
「え?」
「ほっといてください」
「春奈」
「とにかく、もういいのです」
「おい、一体、春奈。なあ、一体どうしたんだよ?」
「お兄ちゃんなんかに分かるはずはないのです」
春奈の口調は段々強まっていく。
「いや、そんなことないって、なあ春奈、もう一度頑張ろう」
「うるさいです!」
「どうしたんだよ」
「ぜんっぜん春奈の心、分かってません」
「どうして」
「さっきの一言で、お兄ちゃん、春奈のこと、億分の一も分かってないことが判明しました」
「え、だって」
「お父さんの時もそうでした」
首筋を冷たい何かで撫でられたような感触に鳥肌が立つ。
「な、」
「だからもういいのです」
「おい、春奈」
「くどいです」
出口のないやりとりが続き、いつしか僕らは口論になった。
妹の口から
(生きてる意味など全くありません)
(一日も早くこの世界から消滅したいのです)
(最初からなかったことにしたいのです)
といった言葉が繰り返し吐き出された。
その一つ一つが、ギラリと光るナイフのようだった。
本当に切られてしまいそうで、気付いたら、僕は必死に叫んでいた。
「もう一カ月もすれば、お前の誕生日じゃないか。なあ、せめてそれまで待てよ。その間に生きる意味を見つけるから!」
。。。
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┃編┃集┃後┃記┃
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いかがだったでしょうか。
父親は、田中兄妹にとって大きな存在となっています。
それには訳がありました。
それは物語を読み進めていくうちに自然と明らかになっていきます。
そして、進一の最後の言葉に対して、春奈は……!
続きは、また明日。
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ではまた。