エントロピーとは何か
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もし、物理学が嫌いなら、
「エントロピーとは、不確定性、乱雑さ、無秩序の度合いである」
という程度の理解でよい。
しかし、もともとエントロピーは、クラウジウスが1865年に
導入した熱力学的概念なので、正確にエントロピー概念を
理解するためには、熱力学における本来の意味を理解する必要がある。
そこからわかることは、一見私たちの感覚を超越した抽象的な概念と
思われるエントロピーが、実は私たちの感覚の本性に忠実な概念である
ということである。
1. エントロピーの熱力学的な定義
エントロピー(ドイツ語:Entropie)という言葉は、
1865年にドイツのクラウジウスが創った言葉である
“en”は「中に」という意味の接頭語で、
“tropie”は「変化」を表すギリシャ語に由来する。
だから、エントロピーとは「変化に内在するもの」という意味である。
高温のシステムと低温のシステムが接すると、熱の移動が起きるが、
この変化の中において、エントロピーが増大する。
あるシステム(系)が、高温の環境に接すると、熱は環境からシステムに
移り、システムは高温となる。
このとき受け取った熱量(単位ジュール)をシステムの絶対温度
(単位ケルビン)で割った商がエントロピーである。
例えば、1気圧のもとで、336Jの熱を加えて1gの氷を溶かすと、
エントロピーは、336J/273K=1.23増加する。
なぜ分母にシステムの温度が必要かというと、
それは、エントロピーが、私たちの乱雑さに対する感覚を忠実に
数量化するためである。
0℃の水100グラムに100℃の水10グラムを加えた時と90℃の水100グラムに
100℃の水10グラムを加えた時では、乱雑になった度合いが違うのである。
比喩を使うならば、
買ったばかりの新しい単色のじゅうたんに誤って一滴のインクをこぼした
ことによって生じる乱雑さの感覚上の増加は、長年使い古し、
あちこちに擦り切れてはげた部分やらコーヒーをこぼしてできたしみやら
家具を置いてへこんだ跡やらがあるじゅうたんに落とされた同量のインクが
もたらす乱雑さの感覚上の増加量よりもずっと大きい。
○「エントロピーの最大は?」
「死だ」