ウィトラの眼

無線業界のニュースについての意見・感想を書きます

携帯電話の大量盗難

2008-11-02 10:26:31 | Weblog
最近、携帯電話が大量に盗まれる問題が時々ニュースで流れている。
これはどこかで聞いた話である。

この問題は5-6年前にイギリスで大きな問題となっていた。携帯電話機は基本的にSIMカードというICカードに加入者情報が入っていて、このカードを挿せばどの端末でも使えるようになっている。従って当時のイギリスでは携帯電話を輸送中に国際ギャング団が携帯電話機を強奪し、ほかの国で売りさばく、ということが社会問題化していた。これはGSM方式が世界標準であることによるリスクと言える。

そこで、世界のGSMオペレータ集まりでは対応を協議し、盗難にあった携帯電話は使えなくする、という対応を取った。具体的には、一つ一つの携帯電話機には端末製造番号があり、ネットワークで接続するときにこの端末製造番号をチェックして盗難届が出ているものに対しては接続拒否をする対応を取ったのである。

ところがギャング団はさらに進んで端末の中の端末製造番号を伝送するソフトウェアを改ざんして異なる製造番号の端末であるかのように見せかけるようにしたのである。 そこでメーカーはこの端末製造番号を送信するソフトウェアが書き換えられないようにソフトウェアの改ざん保護対策を講じた。

日本では最近までSIMロックといって、SIMカードと端末が括りつけになっていて、異なるSIMカードを挿入しても動作しないような作りになっていた。しかし、最近になってSIMロックはおかしいという議論が出てきて、SIMロックを外す方向にきている。こうすると、他人の端末でも使うことができるようになる。さらに最新のドコモの端末などでは世界で広く普及しているGSMの機能を搭載しているので、昔と同じく海外で転売されているのかもしれないと思う。

販売ルートは分かっていないようだが海外での売却の可能性があると思う。ソフトウェアの改ざん対策も、ギャング団が新たな改ざん方法を見つけたのかもしれないと思う。あるいは日本ではこれまで問題となっていなかったので対策がまだ不十分なのかもしれないと思う