おじたん。的ぶろぐ生活。

おじたん。である。語るんである。

君の沈んだ海…。

2010-07-18 04:23:48 | 我思う、故に書くなりよ。
夏本番…と、なるみたいで。

水難事故が早くも起きつつあったりするそうで…気を付けましょうなぁ…。

ま、海水浴なんてのはかれこれ十数年してないワケで、専ら『日干し』専門とか、『渚の用心棒』専門ってことなら行ってもいるんだけれど…。

まぁ、なんだ…昔は海底を竹の棒で突き回して、沈んでいるハズの知人を捜したりもした事はあるんだが、そうなる前になんとかしといてくれないとだな、突き具合に因っては一生のトラウマを抱えたりもするモンだからさぁ…。

前にも書いたかな…。『人は沈む…』のである。

かなり運動音痴的なおじたん。でさえ、水死体ごっこは得意だ。何もせず、海面にゆらゆら~っと、勝手に浮かんでくるので、手なり足なりそれ風に動かせば、泳いでいる事にはなる。

そうした実体験から、人は浮くモンだとばかり過ごしてもいたのだが、高校1年の夏に衝撃の体験をしてしまうのである…。

どうしたことか、海水浴に誘われて、憧れの女の子と一緒に泳ぐ事になったのだが、彼女は小学生の高学年の頃にはバタフライを会得し、プールサイドの視線を釘付けにしていたワケで、そもそもスポーツ万能だし、頭も良いので、凡人では逆立ちしても入れない高校に進んでいた。

おじたん。は凡人なので、凡人らしい高校に進み、縁も無いだろうと思ってもいたので、お声が掛かってウレシイ。

んでまぁ、彼女を含めて数人で、地元だから江ノ島の右辺りで海水浴をする事になったのだが、彼女があまり泳がないばかりか、浮き輪への依存度がかなり必死な事になっているのに気付いたのである…。

1年前は中学校のプールですいすい…泳いでいたのを知っているんで、具合でも悪いのかな…と思ったのだが、そうでもないみたい。波が頻繁な…ってトコロは好きじゃないみたいなので、少し沖の深いトコロへ移ると、人も少ないし水もキレイだし、ぷかぷかゆらゆら…しているだけでも気持ちは良いんである。

受験ってモノを間に挟んでの事だし、部活なんかも引退したり、別の部活に代わったりで、多少、女性らしい体つきに変わってはいたが、泳げない…ってワケでも無いだろうと思っていたのだが…。

「…泳げなくなっちゃった…」

衝撃の告白である。絶対に信じられない言葉が、浮き輪に必死に掴まる彼女の口から出た。

「…沈んじゃうんだよ…」

理解不能な言葉が続く。んなワケねーだろ! って事なのだけれど、彼女は真剣だ。

気が付いたら、体が浮かなくなっていて、泳ぐ動きは昔と変わらずに出来るのだけれども、結局は沈むのだと言う。そんな話も信じられないから、

「アンタ、ちょいとバンザイしてみ? 手離してよ。人間は浮くモンだし。」

そう勧めると、彼女は手を離し、バンザイしてみた。その途端…

「あ! ヤバっ!」

そのまま沈んでいき、手先まで沈みそうになったので、腕を掴んで引っ張り上げた…。

「…沈んだでしょ…」

体脂肪が極端に少ないと、沈む…って話は聞いた事あるが、筋骨隆々でも無い限りはそうもならない。年頃の女性だし、極端に痩身でもないし、イイ感じで丸みを帯びてもいるんだが、ものの見事に沈んでしまうのである…。

バタフライまで出来た人なので、立ち泳ぎ…なんてのも知ってるし、シンクロもどきみたいな事も楽勝な人だったのだが、体が沈んでしまうのでえらくキツクなってしまったと言うのだ。

「…ひょっとして、海だとそうなるの?」

プールじゃ達人でも、川とか海だと泳げない人はいる。そうした仲間なのか確認すると、そうではなく、プールでも同じ様に沈んでしまうと言う…。

…一緒に水死体ごっこ出来ないワケで、「ごっこ…」じゃなくなってしまう。

にわかには信じられない事が目の前で起きているワケで、あれこれとやってみたが、沈んでしまうのだ。体を簡単に支えて、脱力感に浸ってもらうと、大抵は浮くし、沈むといっても足の方が…って感じで、肺にだって空気は入ってるしねぇ…。

「…鉄の女…って感じもしなかったワケじゃないが…マジで沈むな…アンタは」
「鉄分取り過ぎたとか、何か重いモノ体に入れてるとか、ホントはサイボーグで骨格の基幹がステンレスとか…」

まぁ、泳ぎは出来る人だし、息も止めていられるワケだから、速攻で死んじゃうワケでは無いが、あれだけ泳げていた人がそうなってしまった事に驚いたって事と、もう1つ驚いた事がある。

沈んでいく速さだ。バタバタもがけばそれなりに抵抗も出来るだろうけれど、何もせずにいると、かなりのスピードで沈んでいくのである。いったんは沈んで、浮いてくる…ってのが普通で、競技なんかでも飛び込んだあとは水面まで浮かんでくるワケだが、そうではなく、沈んだままに…。

どうりで、浮き輪への依存度が必死だったワケだけれど…あれ以来、未だに信じられないのだが、事実だしねぇ…。

…人間には沈む人もいるのである…。

自身の経験から、そこまで徹底して沈んだ事は無いのだが、波にもまれて沈んだ事はあったりする。そんな時はしばらく我慢してりゃ、浮いてくるし、実際にそうだったりするんだが…そうでない人は間違いなくいるのである。まさに「リアルかなづち」…。

てなワケで、フイに突き落としたりとか、ふざけちゃダメなのである…。

あれ以来、彼女がどーしてるか知らんが…未だに沈むのかどうなのか謎だったりする。以降、付き合ったねーちゃんとプールとか海に行くたびに、そうした実験はしてみたりしているが、彼女ほど完璧に沈んでいく人は現れていない。ほとんどの人間は、程度の差はあるが、なんとなく浮いている…。

…水死体ごっこに勤しみ、挙げ句の果てにワイルドブルーヨコハマから追い出された夏の思い出を思いの外に大事に生きるおじたん。であるが、大切な人だから安易に沈んでもらっても困ると思っているのである…。くれぐれも、気を付けて夏を満喫して頂きたい…。

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