おじたん。的ぶろぐ生活。

おじたん。である。語るんである。

車椅子を押してみて判ったコト。

2005-07-25 13:51:50 | 我思う、故に書くなりよ。
てなワケで、千葉へ墓参りに行ったついでに「鴨川シーワールド」へ行ってきました。

病に倒れた父も一緒だったので、長時間歩くのはつらいだろうと思い、車椅子を借りる事に。長時間車に乗って移動するのはあまり苦でも無いのですが、降りて歩くとか、階段を昇るとかはつらそうなので、こんなトコ来ちゃってどーすんのよ? と、思ったのですが、この手の施設ってのはバリアフリーも進んでいるんだろうと考えたワケです。

入場改札を過ぎてすぐの所で車椅子(¥300)は借りられました。あまり新しい物じゃ無さそうでしたけど、各施設への出入りに必要なスロープの位置やエレベーターの位置が書いてあるプレートが背もたれに掛かっているので、困ったら見れば判る様になっていました。

んでまぁ、押して見学するんですけど、ハッキリ言えば「邪魔者」なんですわ。

時折、強い勢いで雨が降る天気だったのですが、大入り状態の各施設の中ではどの展示水槽の前でも人だかりだし、並んで順序良く見学するなんて人もいないもんだから、人垣の後ろで垣根が崩れるのを待って割り込む他に車椅子の人が見られる方法は無いワケで…。

ただ、そうした人への配慮なのかどうだか知りませんが、水槽の下辺が足元まで延びている水槽が多かったので、椅子に座ったままでも見学できたのは良かったと思います。

ひと通り、水槽の見学を見た後に、イルカのショーを見に行きました。

階段状のスタンドには上れませんので、一番下のスタンドの一部が車椅子で入れる様になっていましたが、ほとんど端っこ…。他に車椅子の人は居なかったので、ステージに向けて椅子を止めてしまえばなんとか見えますけど、整然と並んで見るとなると、どうなんだかねぇ。

シャチとアシカのショーは別の建物でやるのですが、そうとは知らずに待っていると、係りの人が親切に教えてくれて、その場所まで押してくれました。スロープの案内図やらを見れば辿り着くのも判るのですが、さすがに勝手知ったる人の方が移動はスムーズ。まぁ、良く考えたら、イルカのプールにシャチは入らないし。

ひょいひょいとエレベーターのある所まで案内して頂き、なかなか見晴らしの良いところで見学する事が出来ました。アシカの方には優先席と言うか、車椅子専用の場所が確保されており、そこに止めれば見晴らしよく見られます。シャチは最上段から見たのですが、そういった場所は無く、人垣の間から覗き観る…って感じでしたけど。

まぁ、どこも先制しないと良く見えるポジションには着けない…ってセオリーがここにもあるのですな。

「よしっ! 次だぁ!」

って、ダッシュが効かないものですから、致し方無いとは言え、寂しいモノがあります。

水槽の見学とは違って、海獣エリアでは車椅子だと見学出来ない場所も多々あったりして、素通りせざるをえないのも、ちょっと残念でしたけど。柵から身を乗り出さないと見えないってのも、大人でもちょいと怖い感じでしたねぇ。アザラシに喰われる事は無いでしょうけれど、視点の低い子供や車椅子からはほとんど見えなかったりします。

施設も、係りの人も、バリアフリーな感じでなかなか良かったのですが、他の見学者から見れば邪魔以外の何物でも無い感じだったのが、その視線からヒシヒシと判るのです。父もおそらく初めて車椅子でこうした所を回ったと思うのですが、自分の思う所に思う様に行けないって身の有り方にまんじりともしないというか、あきらめってモノもあったんじゃないかと思います。まぁ、それがハンディキャップって所でもあるとは思いますが。

食事もしたかったのですが、健常者がごった返す中に車椅子で入って行く勇気はありませんでした。メニューが若いもん向きだった事もあって、何とか入れてもねぇ…。途中、親戚から頂いたお寿司が車で待っている事もあったので、鯛焼きとかたこ焼き、焼きそばを食べましたけど、お弁当を持って来れば食べられるスペースはいくらでもあるので、持参した方が良いですね。ただし、晴れてれば…の話ですけど。

車椅子は駐車場まで利用できますが、後で返しに来なきゃいけない手間を考えると、雨も降っていましたので、父はここで降り、駐車場までの長い道を歩く事になりました。んまぁ、施設に近い駐車場に車を停めるには朝早くから来い…ってのはどこでも同じです。国道を挟んだ反対側にある駐車場とは地下通路で行き来出来るし、ゆるやかなスロープなので、自前の車椅子ならさほど大変でも無いでしょう。

半日近く、車椅子を押して歩きましたけど、押したとたんに今までの「立場」が変わるワケで、興味深かったです。何となくすっ飛ばして見歩いていた視点では無く、絶えず困ってしまう始点が実に多いんですね。バリアフリーは進んでも、ちょっとした引っ掛かりってのは至る所にまだまだあるし、健常者の群集の中では「邪魔者」なのが現実なワケです。

今までは、そうした人を見ても、なんとなく避ける方向で「良い」と思っていたのですが、そうした人も楽しめるように一緒に「関わりながら譲る」方向で行かなきゃいかんなぁ…と、思いました。

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