映画『ソロモンの偽証』(前・後編)をWOWOWオンデマンドで鑑賞。
2015年の映画で、結構話題になった作品です。
あらすじや見どころはWikipediaにもまとめられているので、簡単に。
この映画は中学2年生のクリスマスの朝、屋上から落ちて亡くなっていたクラスメイトの柏木が、自殺だったのか他殺だったのか、原因は何なのか、他殺だったとしたら真犯人はだれなのか、それを自分たちで学校内裁判をすることによって真相を突き止めようとした物語。
ここからネタバレありで感想を書きます。
以下はネタバレを知りたくない人は読まないでね。
結論から書くと、柏木は自殺。
でもそこには複雑に絡み合う社会の歪みがあった。
学校でのいじめ、いじめっ子の家庭での父親のDV、いじめられる子の悩み、不登校、自殺をほのめかして友情を試そうとする複雑な心理、いじめから友だちを助けられない子の悩み、葛藤、自己嫌悪、、、。
子どもだけでなく大人社会も同じような構図はどこにでもある。
間違いを正して弱い人を助けましょう。
見て見ぬふりはやめましょう。
いじめの現場を目撃しても助けることができない涼子に「どうして助けないの?君はいつもいじめはいけないって言ってるよね。そんなの口先だけの偽善者だ」と罵る柏木の言葉はある意味では正しい。
「僕は死ぬことにしたんだ」と死をほのめかす柏木。
「そんなのはいけない」と自殺を止めようとする神原。
「君はよく生きていられるね。人殺しの息子なのに。」
父親がDVで母を殺しその父も刑務所内で自殺したという過去を持つ、そんな神原の心の痛みをグイグイ突いてくる柏木は本当に性根が悪い。
それでも柏木の自殺を止めようと、柏木の指示通りに指定された電話ボックスから電話をかけ、最後に学校の屋上に来た神原に「もし帰るんなら僕はここから飛び降りるよ」と脅す柏木。
そんな柏木に、神原でなくても「死にたいなら勝手に死ねばいい」と言いたい気持ちになる。
2月24日から始まったロシアとウクライナの戦争はまだ続いている。
ロシアによるウクライナ軍事侵攻と報道される。ロシアがウクライナをいじめている構図。
でもウクライナで起きていたいじめをロシアが止めに入ったんだとしたらどうだろう。
真実はわからない。
人はどこまでが自分の責任なんだろう。
誰かが誰かをいじめ、そしてそのいじめられた誰かがまた誰かをいじめる、いじめの負の連鎖はどうやったら断ち切ることができるんだろう。
「僕を裁いてください。柏木くんを死なせたのは僕です。」と証言した神原に、
「誰もあなたを裁けない」と言った涼子。
何か問題が起きると、人はすぐ「犯人捜し」をしたくなる。
でもそれは必ずしも正しくない。
問題の原因を次から次にモグラ叩きのようにつぶしても次の問題は起きる。
もしかしたらもうその「システム」が機能していないのかもしれない。
学校というシステム、家庭というシステム、企業というシステム、国家というシステム、資本主義というシステム、効率というシステム、競争というシステム、、、。
新しいルールやシステムが求められているのかもしれない。
大きな問題を前にすると人は無力感と怒りを感じてしまう。
大きな山を小さなスコップで掘ってもその山を別の場所に移すことは難しい。
それでも諦めずに掘っていれば仲間ができて、多くの人で掘れば、大きな山でも移動させることができるだろう。
今を生きる私たち。
問題は山積み。
でもその山も諦めずに小さなスコップで少しずつ動かそう。
そうすればいつかスッキリと視界が開け解決策は見つかる。
その日まで偽善者と言われようと、嘘まみれの世界であろうと、諦めずに生きよう。
生き続けて今できることを死ぬまでやり続けよう。
そんなことを感じた映画でした。
映画『ソロモンの偽証』(前・後編)はコチラから視聴できます。
予告編はこちら。
原作は全3巻。文庫本では全6巻。
興味を持たれた方は是非。
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