ホルモン屋徒然草~珍しホルブロだ

新米ホルモン屋の親爺の日々。ホルモンのこと、店の出来事、周辺の自然や話題。

ぜいたく

2008-04-29 00:39:38 | 第1紀 食べる・飲む
久しぶりにゆっくり寝た。

前夜、店から帰ったのは11時過ぎ。
日曜日で大通店は定休日。
いつも通りなら、ゆっくりして夜に松園店に入るのだが、この日は店長がお休み。
朝から店と事務所を行ったり来たり。
と言っても、ビルの2階と4階だが、痛めている右ひざにはこたえる。

2時過ぎ、アイドルタイムに入り、昼のまかない。
と、途中で、「まだ入れますか」と野球のユニフォームのご一行様。
これで、断った試しがない。

で、何にしますかと尋ねると、いきなり「飲み放題にすっかな」などと。
・・。
始まりました。昼宴会が。
途中で主婦でもある従業員たちは休憩に帰し、一人おつきあいを。
寂しかろうと、ご家族の小さいお子さまが私をかまってくれる。
((( ありがとう )))
ずいぶんたち、そろそろかなと思ったら、「おいしいんで、焼酎(鹿児島芋焼酎「七夕」ですね)、もう一本」と。
元気ですね~。
結局、夜の部が始まり、一般のお客様が入ってきても、まだまだと続きました。
いいですね、昼宴会。
帰り際、「もう今夜は晩酌いらね~」なんて言っていましたが、そりゃそうでしょう。
最も私の場合、町場で思いっきり飲んだ後、自宅に帰り、留守番をしていた相方の相手をするために「無理して」ビールをつきあうことがありますが。

こんなこともあって、久しぶりに昼寝もせず盛岡から花巻にかえって、娘と一杯やって、グ~。
こう見えても、つい最近まで一人では怖くて寝れなかった私ですから、相方のいない今夜は書斎のソファーで灯つけっぱなし、JAZZかけっぱなしでゆっくり寝たわけです。

朝は朝で、朝食を用意してくれる相方もいないし、まっしぐら盛岡へ出勤。
とはいえ、腹は減る。
こういうときこそ、「浅月」だな。
花巻インター店で讃岐うどんを突っ込む。
確か、先々週も家族で来た。

朝7時から開いているし、安いし、うまいし、気取らずセルフで、とてもいい。
ぶっかけに天ぷらを二つほど。

店の横に製麺室を設け、しっかり自家製麺で「腰のある」うどんをつくっている。
ここが、えらい。
この考え方が偉いと思う。
自分の進むべき道をきちんとできるようにしている姿が窺われる。

そして、その麺も良い。
でも、今日のはちょっと気骨を少しなだめて、穏やかにしたのかなと思ったのは私の勘違いかな。
讃岐のするっとしたのど越しながら、コシの強い、輝いている麺が好きである。

そして、昼。
月末の支払いで銀行にいきがてら、久しぶりに「一幸庵」の暖簾をくぐる。
今日はカウンター。
正直、ここのカウンターは少し気が張ってつらい。
なんせ、厨房のきりりとした雰囲気がもろに伝わってくるからだ。

しり込みしながら座る。緊張。

朝はうどんで天ぷらだった。
外気は少し肌寒い。
「地鶏(南部かしわ)」のそばを、「定食」で注文。
しばし、期待しながらそば茶をすすり、待つ。

いつもの豪華な定食が盆に乗ってくる。
先ずはそばだ。

いつもの分厚い存在感のある丼に、黒ずんだそばの実が間近に感じるのしっと味わいがあり、蕎麦の実の香りのする太い麺が現れる。
蕎麦をすする。
蕎麦はのど越しと、私も思うが、これは少し噛みしめる。
このテクスチャーもこの店に来たかいのある、なかなかのご褒美となる。

そしてつゆ。
いつもの切れの良い出汁が、地鶏の脂と相まって穏やかながら奥深い味を出す。
ここんとこで、一番おいしい汁にあずかった。
うれしい。
分厚い丼を両手で持ち上げ、熱い汁を何回もすする。
幸せだ。

南部かしわは生産農場も拝見したことがあるが、その気性の通り、しっかりとした噛み応えとみちっとした身からでる野性的な肉質の味わいが、いかにも地の物という感じで舌に押し寄せる。
牛で言えば短角牛か。
こういう「肉:赤身」がしっかりしたものをうまく仕上げるのは難しいんだろうけど、火の通し方のなせる技か、きっちりと仕上げ味を伝えてくれる。
ももとむねの部分があるが、どちらもおいしい。
ブロイラーのようにむねだからといって、馬鹿にしてはいけないのだ。

ぶつぎりの葱が、気を張るそばと地鶏の箸休めの役目を果たす。

また汁をすする。
またすする。
もったいなくて底が見えそうでもすする。
熱さがぬけても、汁はその豊かさを失わない。

ああ、定食もあった。
おからも、おくらもうまい。
マグロの刺身は定食の物だからとびっきりではないが、きれいに揃ったつまと大葉にはさんで食べると、とてもさわやかだ。
今日の特筆すべきは、白身の、たぶんサバかな、天ぷらだ。
衣が、何を使ったんだろう、厚いんだけどぱりっとして味がある。
少し癖のある白身に、このやんちゃ坊主の衣が合う。
これだけでご飯がおかわりできそうだ。

そうそう、ご飯も白米にあまり突いていない米(かな?)も混じり、噛めば噛むほどうまい。
いや、私のように不躾な人間でも、かっくらうことなく、上品に噛みしめたくなるうまさなのだ。

ぜいたくだ。

朝も、昼も、こんなにして、ぜいたくだ。

至福の幸せに、なぜか、ふっと息をついて店をでる。

汁の味を思い出しながら、記憶から消えないように口腔に気を集中して歩きだす。

店に入る前は、このあとに喫茶店に寄ろうかなと思っていたが、舌の記憶が薄れるのがいやで、パス。

桜の花が散り、また少し肌寒さが戻ってきた盛岡の街を、いつもの本屋に向かい歩きだす。


PS:「をかしら屋盛岡大通店開店半年祭」実施中。