ホルモン屋徒然草~珍しホルブロだ

新米ホルモン屋の親爺の日々。ホルモンのこと、店の出来事、周辺の自然や話題。

まかないマジック または 温麺固まるの巻

2008-04-10 08:33:34 | 第1紀 をかしら屋
昼のまかないは、できるだけ全員揃って食べるようにしている。
なにせ、食事は大勢の方が楽しい。
作る方も楽だし気が張る。
まあ、問題は気が張りすぎて量が莫大なものになることがままある事だが、それとて我がレギュラーメンバーにしてみれば少し気合を入れればいいだけの話で、まことにありがたいことなのだ。

しかし、夜は勝手が違う。
帰る時間もバラバラだし、夜半1時過ぎまでの営業であるから、一人一人交代で、厨房の中でこっそりとることになる。
たまには、昼まかないが半端で(というより本人の腹のこなれ具合によるが)、夕方一回、9時前一回、閉店前一回などということになる場合もある。

「をかしら屋松園東黒石野店」の時からそうなのだが、「をかしら屋盛岡大通店」においても、この夕飯まかないにはマジックがある。

「腹減ったし、お客様も今日はこないようだし、面白くないから食うか」と、客のいない寂しい店でまかないの用意を始める。
やはりお客様のいない日は寂しいのだ。
寂しさはお腹にきて、腹減るのだ。グーッ。

こういうときに限って、あったかい麺とか、思い切って誰もいないテーブルで「焼くか!!」とかなる。
これが危ない。
考えてみれば、客の入りが遅いだけで、全くおから(または業界用語で坊主)という事は無いのであって、8時、9時には一組ぐらいは気配を察した観音菩薩みたいにやってくるのである。

そのやってくる時間が、まあ見事に麺を茹で始めたときや、厚く焼けた鉄板に従業員の好きなホルモンやレバーをのっけた瞬間を見たかのように始まるのだ。
こうなると当然のごとくあわてて片づけ、お客様の応対となる間に、また次のお客様がきてビールだコブクロだ網の交換だとなり、へえこら疲れ果ててテーブルを片づけ終わるころには、ホルモンやレバーはひっからび、麺は伸びきってしまう。

今日も今日とて、早めに「ホルキャベ温麺」を用意し、椀に盛りつけた瞬間、いらっしゃいました。3組み続けて「いらっしゃいませ~」。まもなく、「団体様ご到着~」。そして、「アベック(この言葉は古いといわれた、今は何とかというらしい)様、カウンターにご到着~」となる。

そして忘れ去られた「ホルキャベ温麺」。

「オーナー、食べますか。伸びてますけど。」と姫。
そりゃ伸びてるさな。2時間あまりの戦闘の後だもの。
まあ、「温め直してくれるかな」と。
しばらくして、「こりゃだめですね。下の麺がくっついてほぐれません。」だと。
確かに。固焼きそばというか、団子スパというか、仲良くくっついて離れません。
でも、食べ物を粗末にしてはいけません。ホルキャベのスープだけは格別においしいし、などといって完食。

暇な店で、三人揃って麺をすすっているより、客席は盛り上がっている中で出す方は一段落ついたから、こっそりと伸びた麺を苦労してほぐしながら食べている方が、経営者的にはありがたいことなのだろうと考え直して胃を落ち着けています。
小麦粉的には同じ量なんだろうけど、ふやけて倍に伸びた麺は、食べづらさもあって胃に応えます。

しかし、あれも幸せ、これも幸せ。
神様に感謝です。