ホルモン屋徒然草~珍しホルブロだ

新米ホルモン屋の親爺の日々。ホルモンのこと、店の出来事、周辺の自然や話題。

ワイン ぶどう畑 陳 スイセン

2008-04-04 00:03:20 | 第1紀 読書・JAZZ
私は早生まれで30年生まれだが、同級生の多くは29年生まれ。
だから、「29年会」と称して毎月29日に同級生の和食店に集まる。

今回は都合で4月2日になったとのこと。
店を2軒抱え、当分出席できない旨、伝えていたが、スタッフも充実し久しぶりにお休みをいただいて出席する。

店主とワイン好きが約1名。
そのワイン好きがワイン用のぶどう畑を持つことをワインを製造している会社から持ちかけられたとのことで、場が一気に盛り上がる。
いくらかかるのか。誰が出資するのか。どう経営するのか、と話は尽きない。
飲んだ上の話だから否が応でも盛り上がるのだが、結局、私と和食店の主人は金は出さないが労力を提供することとした。
話の炎が燃え尽きぬまま、二次会のスナックでもさらに炎上する。

翌朝、ワイン畑の話の経営についてよく分からんという発端の張本人に、私の蔵書家ら玉村豊男さんの「私のワイン畑」、「田園の快楽」など数冊を自宅に持っていく。
やはりこの話に思いっきり火をつけて実現したい。
ワイン畑で農作業のあと、ホルモンでも焼きながら思いっきりワインを飲みたい、などと考えている。空想に火がつく。しばらくこの話でわくわくしそう。

翌昼、店を店員に任せ、近所の探索へ。
気になっていた、「 板の間中華 たいりくや」へ。
暖簾を潜ると、古い木をつかった七人ぐらい座れるカウンターと、やはり古いどっしりしたイメージのテーブルが二つ。
居心地のよさそうな空間があらわれた。

看板の「陳麻婆豆腐セット」を注文する。
本当は坦々麺を食べたかったのだが、ランチメニューには無かった。
無くても頼むのが私であるが、この「陳」が頭文字についた麻婆豆腐にも気を引かれたのである。
カウンターの目の前の枕木のようなものの上に置いてある「青島ビール」が目に入り、もう昨夜の酒の後遺症か花粉のせいで重くなった目をこすりながらも注文。
久しぶりであるが、記憶どおりの味で、う・ま・い。

まもなく運ばれてきた麻婆豆腐もなかなか辛味が効いていいものでした。
ランチらしく、スープもデザートもサラダもつまみ二品もついて、なかなか充実。
なるほど、うちもデザートもつけるかな、サラダはどうしようなどと、いい市場視察になりました。
いい雰囲気の店でお味もよくサービスもよくて、心地よく店を出ました。
またこよっと。

ビールが効いたふらふらの体をどうしようかと、大通の本屋へ。
月も開け、月末支払いが終わるまでは我慢しようとした本を拾いに。
結局、狙っていた一冊は無かったけど、予定していた「日高敏隆選集」の第4巻「動物という文化」と第5巻「動物はなぜ動物になったか」を手に入れる。
書棚を眺め、堀江敏幸「雪沼とその周辺」と、鴨志田穣の「遺稿集」を選ぶ。

鴨志田は前妻の西原理恵子との共著で知る。
この破天荒な二人の共著になる本は、読んでて楽しい。
はちゃめちゃに楽しい。
卓越した人生観が漂い、かつ相いれない二人のかもしだす雰囲気がなんとも壮絶で楽しい。

西原も伊集院静との共著から知った。
恐るべし女であり、愛すべき人であり、すさまじい人であり、類まれな人である。
好きな作家は全てを読み切るのが常であるが、出す量とスピードがすごく、しかも文章と絵が圧倒されるから、体力のあるときしか読まないのだ。

しばし、鴨志田の無常観あふれる肩の力の抜けた言葉を楽しむかな。
それにしても、危うい戦場を駆け抜けたのに、病気で若い命を落とすとは。
合掌。

(ツマハホンヲカウナトイウガ、ホンヲヨマナイボクハシンダボクダ。ドウセゼンブヨメモシナイノニカウナトイウガ、ソレハマサシクソノトウリデ、ハンロンノヨチハコレッポチモナイ。ユルセ、ツマヨ。コレハビョウキナノダカラ。)

高校生の頃、毎日のように街の本屋に通った。
これはと思う本を立ち読みで二時間ほどで読了した。
授業中、6時間目まであるから、1~2冊。本屋で1冊、あるいは二日で一冊。家に帰って自室で深夜放送聞きながら1~2冊。みたいな日々が続いた。
本屋の、少なくとも興味のある小説や文庫本のコーナーのどこに何があって、今日は新しく誰のどんな本が入ったのかをわかっていたように思う。
好きな本、探していた類の本がどこにあるのか、気配で察するようにもなった。
そして、今。
大通店を開店することによって、毎日でも昼過ぎに本屋に通える幸せが帰って来て、うろうろと狭い本屋の通路をさまよう日々だ。
非常に・・・・・嬉しい。
まだ勘は戻っていないが、そろそろ本の方で私に「今日入ったよ。わりと読みごたえがあるよ。」なんてささやき掛ける声が聞こえてくるころかなと思っている。
少年のときより読む本の幅が広がっただけ、本屋の片隅から片隅へ徘徊する楽しみが増えた。
ただ残念なことは、眼鏡がないと立ち読みもできなくなったこと。
本屋さんよ。生き残りをかけたサービス合戦のお客様優遇企画として、各本棚の脇に眼鏡をつるしてくれませんかね。
私はまだいいほうだから「1.0」くらいのでいいんですけど。


などといっている間に、庭がまた賑やかになりそう。




ぷっくらと。




今にもスイセンが。弾けそう。