アガサ・クリスティをちょっとぱくったタイトルですが,内容は推理小説とは全く関係ありません。
平成19年度の介護業者の倒産が,平成12年の介護保険制度導入後,最悪となりましたが,今年前期は昨年の水準を更に上回るペースで倒産しているようです。
原因はいくつかありますが,介護報酬の引き下げと慢性的な人材難が大きな原因とのことです。
介護業者倒産、最悪ペース 負債総額、既に100億円突破 1~5月(産経新聞) - goo ニュース
需要はあるのですが・・
介護業者は,介護保険法導入時には,「新たなビッグビジネスのチャンス」ということで多数の企業が参入しました。そして,当初はそれなりに順調に進んでいました。
しかし,需要が多い割には,それに対応できるヘルパーがいないことや,ショートステイなどができる施設の場合,建設費用もかなりかかるが,それに対するリターンが少ないことや,社会福祉法人設立の許認可が結構大変ということで,予想以上に増えていません。
その結果,現状では,安い特別養護老人ホームは入所まで3年待ち,高い有料老人ホームの場合は,高級分譲マンションを購入できるだけの一時金が必要であるため,庶民には手が出せないという状況にあり,結果訪問介護をベースにしてデイサービスやショートステイを活用している(しかも,施設が少ないので,やはり自由にお願いしにくい状況である)という方が多いのではないでしょうか。
そんな状態であれば,訪問介護をベースにする介護業者はますます儲かりそうな気がするのですが,前述の状況を見てお分かりのとおり,訪問介護を利用する方の場合,そうそう高い金額は払えず,基本的には介護保険の範囲内での介護サービスをお願いすることになります。そして,介護報酬が安くなってきているとなると,まず1人あたりの単価(粗利)はかなり低額になってきます。
粗利が低い場合,普通の商売では「薄利多売戦略」に出ることでこれを回避しますが,介護業者の場合,介護を行うヘルパーさんが必要であること,ヘルパーさんもすぐにできる仕事ではなく,専門教育が必要であること,見た目以上の重労働であることから,なり手も少なく,結果,介護業者で雇えるヘルパーは少ないということになります。
そうすると,「薄利薄売」になるため,会社としての儲けはほとんどでません。結果,倒産や撤退を余儀なくされるのです。
需要があるのに,儲からないというのは何とも不思議ではありますが,これが現実なのです。
では,どうすればよいでしょうか。一つは単純に「介護報酬を上げる」ということも考えられますが,介護保険財政は国民健康保険財政同様,かなり緊迫しているため,ここを引き上げると言うことは,必然的に「掛け金が上がる」ということになります。
もちろん,悪質業者(不正請求等)もかなり横行したため,こうした企業の間引きは必要となりますが,それでも,今の保険料ではとても維持できないでしょう。
次に利用料を値上げするということも考えられますが,介護ではかなりの費用が発生します。その上で,更に利用料を値上げすると言われた場合,むしろ,利用者が減少し,結果粗利は変わらないということになりそうな気がします。これは,後期高齢者の問題を見れば分かることです。
とすると,あとは「儲けを気にしない組織が運営する」ということしかありません。すなわち「公立施設」です。
ところが,儲け度外視施設の場合,「税金の無駄」という批判を受けます。
とすると,あとは運営補助金を出して経営をサポートするという方法しかないのではないでしょうか。
ちなみに,似たような問題は,障害者施設でも発生しています。
介護事業は単純に損得勘定で行うべきものではありませんが,とはいえやはり「儲けを出す」という発想は必要です。
今のままでは,介護業者はどんどん倒産し,気がつけば「面倒見る人が誰もいなくなった」ということになりかねません。
ばらまき事業にならないように注意しつつ,一定の配慮が必要でしょう。
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平成19年度の介護業者の倒産が,平成12年の介護保険制度導入後,最悪となりましたが,今年前期は昨年の水準を更に上回るペースで倒産しているようです。
原因はいくつかありますが,介護報酬の引き下げと慢性的な人材難が大きな原因とのことです。
介護業者倒産、最悪ペース 負債総額、既に100億円突破 1~5月(産経新聞) - goo ニュース
需要はあるのですが・・
介護業者は,介護保険法導入時には,「新たなビッグビジネスのチャンス」ということで多数の企業が参入しました。そして,当初はそれなりに順調に進んでいました。
しかし,需要が多い割には,それに対応できるヘルパーがいないことや,ショートステイなどができる施設の場合,建設費用もかなりかかるが,それに対するリターンが少ないことや,社会福祉法人設立の許認可が結構大変ということで,予想以上に増えていません。
その結果,現状では,安い特別養護老人ホームは入所まで3年待ち,高い有料老人ホームの場合は,高級分譲マンションを購入できるだけの一時金が必要であるため,庶民には手が出せないという状況にあり,結果訪問介護をベースにしてデイサービスやショートステイを活用している(しかも,施設が少ないので,やはり自由にお願いしにくい状況である)という方が多いのではないでしょうか。
そんな状態であれば,訪問介護をベースにする介護業者はますます儲かりそうな気がするのですが,前述の状況を見てお分かりのとおり,訪問介護を利用する方の場合,そうそう高い金額は払えず,基本的には介護保険の範囲内での介護サービスをお願いすることになります。そして,介護報酬が安くなってきているとなると,まず1人あたりの単価(粗利)はかなり低額になってきます。
粗利が低い場合,普通の商売では「薄利多売戦略」に出ることでこれを回避しますが,介護業者の場合,介護を行うヘルパーさんが必要であること,ヘルパーさんもすぐにできる仕事ではなく,専門教育が必要であること,見た目以上の重労働であることから,なり手も少なく,結果,介護業者で雇えるヘルパーは少ないということになります。
そうすると,「薄利薄売」になるため,会社としての儲けはほとんどでません。結果,倒産や撤退を余儀なくされるのです。
需要があるのに,儲からないというのは何とも不思議ではありますが,これが現実なのです。
では,どうすればよいでしょうか。一つは単純に「介護報酬を上げる」ということも考えられますが,介護保険財政は国民健康保険財政同様,かなり緊迫しているため,ここを引き上げると言うことは,必然的に「掛け金が上がる」ということになります。
もちろん,悪質業者(不正請求等)もかなり横行したため,こうした企業の間引きは必要となりますが,それでも,今の保険料ではとても維持できないでしょう。
次に利用料を値上げするということも考えられますが,介護ではかなりの費用が発生します。その上で,更に利用料を値上げすると言われた場合,むしろ,利用者が減少し,結果粗利は変わらないということになりそうな気がします。これは,後期高齢者の問題を見れば分かることです。
とすると,あとは「儲けを気にしない組織が運営する」ということしかありません。すなわち「公立施設」です。
ところが,儲け度外視施設の場合,「税金の無駄」という批判を受けます。
とすると,あとは運営補助金を出して経営をサポートするという方法しかないのではないでしょうか。
ちなみに,似たような問題は,障害者施設でも発生しています。
介護事業は単純に損得勘定で行うべきものではありませんが,とはいえやはり「儲けを出す」という発想は必要です。
今のままでは,介護業者はどんどん倒産し,気がつけば「面倒見る人が誰もいなくなった」ということになりかねません。
ばらまき事業にならないように注意しつつ,一定の配慮が必要でしょう。
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自治体がやるのではなく、
互助制度(お金だけでなく、労力も)
とするか、
あるいは、「介護サービス」ではなく、
「介護福祉」として、
税金でサポートするべきでしょう。
少なくとも、介護への税金投入であれば、
ヘルパーという人間にお金が渡る以上、
お金を箱物のようなストックではなく、
フローの形に出来るので、
経済政策上も、かなり有効だと思うんですけどね。
確かに,介護関係に税金を投入するのであれば,「ヘルパーに直接渡る方法」を考えた方が良いですね。
結構,補助金制度って,何らかの理由で中間搾取されたり,トンネルで別のところに行くなど不透明なものが多いですから。
ただ,一方で「安易な介護ビジネス」も再検討の余地があるのでは,っていう気もします。