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あれは,あれで良いのかなPART2

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状況証拠の積み重ねでも有罪認定は「あると思います」

2009年04月22日 00時39分34秒 | 裁判・犯罪
いわゆる和歌山ヒ素カレー事件について,21日最高裁は被告人の上告を棄却し,死刑判決を維持しました。これにより死刑が確定することになります。
一方,林被告は冤罪であるとして,今後再審請求も含めた検討をするとのことです。

林被告の死刑確定へ=発生から11年、上告棄却-和歌山毒物カレー事件・最高裁(時事通信) - goo ニュース

疑わしきは被告人の利益,されど疑わしきがたくさん積み重なれば有罪も「あると思います」

この事件,感情論は完全に抜きにして,一番の問題点が「直接的な証拠が全くない上に動機すら分からないという状態において,果たして有罪か否かの認定はどのようにするのか」という点にありました。
最高裁は,これまでの判例どおり,「状況証拠を積み重ねていき,それが被告人以外の犯行に間違いないといえる合理的理由があれば有罪認定できる」としました。
今回の事件では,直接の目撃者もなく,また自宅からヒ素それ自体は検出されていませんでした。そして,何よりも「動機が分からない上に,殺害するメリットすら全くない。」という状態であったことから,果たして有罪認定が可能なのかという点に注目が集まりました。
最高裁は,簡単に言うと,「同じようなヒ素が自宅の排水路や被告人の髪の毛から検出された。だからヒ素を扱っていた可能性は極めて高い。」と,まず「被告人とヒ素」とのつながりを認め,その上で「証人の証言を総合すると,カレー鍋に何らかの異物を混入できる可能性があったのは被告人以外にはあり得ない。」と,第三者がカレー鍋に何か細工する可能性も否定することで,「ヒ素の所持+鍋に物が入れられる唯一の人物」と認定し,それで「だから被告人がヒ素を入れた」という結論にしたのです。
また,動機については,「動機がないから犯罪をしないとは限らない。」ということで,動機が不明確であっても犯行を行ったといえる客観的証拠があれば,動機がないことが有罪認定を阻害するものではないとし,あえて動機について深く突っ込まずに有罪認定をしたのです。

つまり,「証拠が必要なのは当然の話」という前提において,「直接的な証拠がなかったとしても,いろいろな証拠を積み重ねることで事実認定ができるのであれば,それで十分」と判断したといえるのです。つまり,「事実認定は一般常識で行えばよいのである。」と言ったといえるのではないでしょうか。
今回の最高裁判決は,おそらく「裁判員裁判」を意識したものと思われます。すなわち,裁判員でも「事実認定は一般常識」という前提に立っているため,最高裁としては「一般常識で裁判をやってね。それで十分だよ。」というアピールしたのではないでしょうか。動機にこだわらない部分についても,「とにかく主観より客観的な証拠を重視して事実認定すればいいんだよ。」ということを言いたかったのかもしれません。

いずれにせよ,これでひとまずこの事件は終了したことになります。しかし,動機が分からずじまいであることから被害者としてはなんとも消化不良の判決になっていると思います。
逆に,被告人は冤罪を叫んでいますので,今後,何らかの問題点を提起して再審請求をすると思われます。そうすると,もう少し時間がかかる可能性もあります。

本当の真実はどこにあるのか,なにかしっくり来ない幕切れな感じがしてなりません。

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