あれは,あれで良いのかなPART2

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ミサイル問題,結局北朝鮮の圧勝で終わるか?

2009年04月19日 17時34分21秒 | 外交・海外情報
北朝鮮が人工衛星のようなものを打ち上げたことについて,日本は即座に経済制裁の延長を通告しましたが,国連では安保理決議には至らず,議長声明に留まりました。
一方,北朝鮮は,国連の議長声明に不信感を露わにし,6カ国協議への不参加を表明すると共に,IAEA職員らを国外退去にするなど対応をしています。

対北制裁「効果ない」=自民・山崎氏(時事通信) - goo ニュース

北朝鮮はシナリオどおりアメリカとデートの準備,一方日本は・・

今回の一連の動き,ここまでは完全に北朝鮮のシナリオどおり動いています。
まず,安保理決議に至らないことは,既に中国及びロシアの動きをみれば明かな話ですので,まあ,日本から見ればイギリスの仲介で一応議長声明にまでこぎ着けただけでも御の字というところです。
また,北朝鮮が6カ国協議を抜けると言い出すことも当然想定内の話です。なぜなら,北朝鮮は6カ国協議に出るメリットがそもそもなかったからです。
中国とロシアは社会主義時代からのつながりもあることから個別外交で十分対応ができ,相互に経済交流も行っているため,「既に3カ国でメリット十分」状態になっています。
韓国との関係は,「朝鮮半島統一」の御旗のもの,ようはどの程度韓国から経済的便益を提供してもらい,かつ米軍が韓国から減るかという点だけ考えればいいのです。したがって,基本「2カ国協議」で十分で,せいぜいアメリカを交えての3カ国協議でいけるのです。
アメリカは,韓国駐留軍の問題もありますが,なによりも「アメリカ国内情勢の便法」として外交を使っていること,アメリカとしては,アメを北朝鮮に渡してでもアメリカの言うなりになってくれれば,今度は中国との交渉に優位に使えるというもある一方,北朝鮮としてはアメとしての経済援助と,なんといっても「アメリカから目を付けられていない無難な国家である。」と世界中にアピールできることから国際競争力を付けることが可能になるという思惑などから,2カ国協議でじゅうぶんいけます。

ところが日本はどうでしょうか。日本の立場では,北朝鮮に言うべきことは山ほどありますが,北朝鮮の立場からすると,「日本の言うことを聞いてもメリットは小さい」と思われていますので,日本と協議する気にすらならないわけです。
むしろ,日本がいることで,他の国との協議(特にアメリカとの関係)で,まとまる話もまとまらなくなるっていう思惑が強いため,実は,ここで6カ国協議に不参加っていうことは,待ってました状態なのです。

この話は,日本としても実は両刃の刃です。日本として拉致問題解決は絶対にやらなければならないものの,現実問題として,北朝鮮にメリットが0の協議のため,2カ国協議は無理な話であり,いわば他の国の協議に便乗する6カ国協議が有益だったのです。
しかし,ここを脱退されると,日本としては,攻め手を欠いてしまうのです。
感情論では,どう考えても北朝鮮の動きの方がおかしいのですが,外交という現実問題では,どうしても「ごね得」が成立するのです。

もっというと,感情論では「他の国の力も借りれば,北朝鮮も協議に応じるのでは」という点がありますが,日本にはこの点にも弱みがあります。つまり,「領土問題」です。
韓国の竹島,中国の尖閣諸島,ロシアの北方領土です。

日本として,「いやあ,感情的に拉致って許せないよね。だから協力してくださいよ。」と各国にお願いしたとしても,各国はうわべの挨拶しかしません。なぜなら,「協力するメリットがない」からです。日本に協力することで,自分たちも利益がない限り,国は動きません。これは,ビジネスと同じです。儲からないことのために国は動かないのです。
当然,日本も同じ話です。他の国から協力依頼があっても,日本にメリットがなければ,国として動きません。結局,感情だけでお願いしても無駄で,それなりの対価を用意しなければなりません。
そうすると,日本が韓国,中国,ロシアなどに強く働きかけをお願いしようものなら,待ってましたとばかりに「北朝鮮にプッシュするけど,その代わりといっては何だが,領土問題もここでまとめちゃわないかねえ?」とふっかけてくる可能性が高いのです。さすがに,外務省もこの展開は読んでいるため,政治家などから強く批判をされているものの,拉致問題解決のために他の国に対して働きかけをする点については,あまり大きく動いていない,いや,動けないのです。

っていうような流れを北朝鮮は当然すべて把握しています。だからこそ,「日本,無視しても問題ない」という前提で今回の一連の動きをしているわけです。

では,日本としてどうすればよいでしょうか。
再軍備をするべきだという意見もありますが,憲法問題を別にしても,軍事力のみで解決する話ではありません(もちろん,軍事力があれば交渉が行いやすいという側面もありますが,日本の場合は,第二次大戦敗戦国という弱みが今でも残っているため,軍事力が十分な威嚇力になるかは怪しいものです。)。
結局は,北朝鮮問題を解決するためには,周辺諸国の諸問題も同時並行的に解決するしかないのです。もちろん,交渉の過程では,渋々ながら日本として折れなければならない場面もあるかもしれません。
今の現状は,例えるなら旧民事執行法時代における「競売物件の占有屋」状態にあることからすれば,一部不合理な要求ものみながらも,複雑に絡まったひもをほどくしかありません。
とにかく,外交努力,ここに尽きるでしょう。こうすることで,結果的に北朝鮮を追いつめ,拉致問題の完全解決も可能になるといえます。
感情論だけで北朝鮮が動けば,はじめからこんな苦労はしません。

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