世の住み憂きは厭う便りなり。人かずならぬ身のいやしきは菩提をねがうしるべなり。
恵心僧都「念仏法語」より
☆
憂い多くして住み難い世の中はわたしを仏道に歩ましめる一助となるのだから、プラスのハタラキをしているのであるし、つくづく嫌気が差すほどの己が身の賤しき所業のかずかずは、それがためにわたしを菩提へ後押ししてくれるのだから、必ずしも非難するには当たらない。すべてがわたしを仏法に遭わせるための尊い縁(よすが)となる。己に念仏申させる因になる。
☆
というふうに受け取ってみた。悪業の報いは翻って善果の出発点となる。であれば、腐ることはなかったのである。