<おでいげ>においでおいで

たのしくおしゃべり。そう、おしゃべりは楽しいよ。

我が身我が老後の暮らしを悔いることしきり

2017年07月08日 23時59分15秒 | Weblog

お月様だったのかあ。それで障子戸が明るく光ってたんだ。なあんだあ。てっきり朝になっていると思った。トイレの行き帰りをしてまたお蒲団にごとん。ぬぬぬぬ? そうでもないぞ。早とちりか。部屋の電灯をオフにしたら、今度は月光は捉えられなかった。だったら防犯灯が猫にでも反応したのかもしれない。でも、だったら、色で分かりそう。何だったのだろう? 

とにかく一眠りした。夢を見てた。外に狭い岩風呂が二つ三つあって、そこまで小径を歩いて行って温い湯につかっていた。灯りを点けると底が濁っていた。水道の蛇口を捻ったら、水で溢れてしまった。窓の外は低い崖になっていて、こんな時間に女の人が背中に赤子を負ぶった格好で畑の草を集めては燃やしていた。火はすぐ傍で火柱を高くした。ヘンな夢を見ていた。

これから夜明けまでどうしよう? 取り敢えず暑い。蒸し暑い。冷房をオンにした。涼しくなった。

家内は別の部屋に寝ている。我が家は家庭内別居。もうかれこれ20年近くなる。手を握ることもない。老人二人がずるずると共同生活をしているというところだ。家内は炊事洗濯掃除、身の回りの世話をしてくれているから、こちらは大助かりなのだが、それで果たして楽しいのだろうか。会話もほとんどしない。自分はつくづく冷たい男だと思う。

彼女は外に出て、週に何度かいろいろサークルに参加して体を動かしているから、それで発散しているのかもしれない。老爺はときどき隠れ処温泉に浸かりに行く。半日過ごして戻ってくる。あなたはあなた、僕は僕。互いにヘンな老夫婦だ。こんなはずじゃなかったんだがなあ。

こんな僕はさぞかし嫌なんだろうなあ。理科室の骸骨の標本のようにしているし、ぶすりとして不機嫌を通しているし。全身毛なしだし。仏壇の前に座って長いこと読経をしているばかりだし。優しい言葉もかけていない。第一、どんな魅力も備えていないからなあ。

そんなことこんなことを考えてしまった。我が身、我が老後の暮らしを悔いることしきりだ。実際つまらない男だ。もうすぐ1時。何か明るいことはないか。月光でもいい。

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破片として生まれて来たわれらは凡夫

2017年07月08日 19時45分22秒 | Weblog

「凡夫」とは平々凡々の「凡俗凡庸の者」というふうに解していた。サンスクリット語では、「バラバラで生まれてきた者」という意味らしい。

ふーん。

破片だったのかあ、そうすると。集まって集まって、破片を寄せ合って組み立てて、全体の一になるように仕組まれていたのかあ。一人一人はモザイクだったのかあ。それで一人一人姿形、性格品格その他いろいろ様々に違っていたのかあ。子供が好きなゲームみたいだぞ。

不安定だったはずだ。破片だったのだから。寄り集まって寄り集まって四角になったり丸くなったりしながら、次第に膨れあがって行く。新しいイキモノになる。そしてまた融合する。また一つ大きな存在になる。互い互いの欠点がこれで補われていく。

一人の中で完成するものじゃなかったんだあ。単独で、独立して、独力で完成するものじゃなかったんだあ。ふーん。

接着剤がいるよねえ、だったら。この役目をするものは何だろう? 言葉だろうか。

愛だろうかねえ。うん、互いを認め合い許し合い尊重し合う接着剤は愛というものかもしれない。破片がこれで接合されて行く。愛にはふかふかした温度があるから、次第に集合体が発酵をして行くんだろうなあ。

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無意欲が深まるばかり だらしない

2017年07月08日 11時46分20秒 | Weblog

ごろごろごろごろしている。猿のナマケモノのように。だらしなくしている。老爺はこれで済む´ところが有り難い。世間の人様は多くが働いていらっしゃるのに。布団も上げずに昼間も下着一枚でころがっている。日が射してきたので暑くなった。扇風機を弱で回して凌ぐ。もうすぐ正午だけど、無活動だから、食欲も起きない。さっき友人が訪ねてきた。慌ててズボンとシャツを着込んだ。あれこれ30分ほどお喋りして帰って行った。タイのお土産を持って行ってもらった。それと赤く熟したトマトと朝取りのインゲン豆を。またごろんごろんに戻った。無意欲が深まるばかり。シャンとせい! 号令を掛けてもこれに応じる素振りも見せない。市役所の正午を報せるチャイムが鳴っている。

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雑事を切り捨てて切り捨てる

2017年07月08日 04時54分29秒 | Weblog

夜もすがらホトトギスが鳴いていた。ただひたすらに、「恋しい恋しい」と思いをぶつけ恋しい相手を呼び続けていた。寝も遣らずに。そんなにも恋しい相手がいたのだろうか。もう障子戸の向こうはうっすらと明るい。もしかしたら、一生をこれに費やしているのかもしれない。そうだとしても、それでいいのかもしれない。人間はそうすることを、本能のままに生きることを寧ろ蔑むかもしれないが、それを貫くことは純粋なことかもしれない。ひたすらに思いを募らせていく。雑事を切り捨てて切り捨てる。それを貫徹することで、次第次第に己の感性が磨かれていくのかもしれない。信仰に近くなるのかもしれない。ホトトギスは渡り鳥。夏の間日本で暮らしている。こちらでは祇園山の山裾の森を住み家としている。

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