秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞ驚かれぬる
藤原敏行 (古今和歌集秋歌上169)
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秋が来たとはっきり目にすることはないのだが、吹いて来る涼しい風によってそれと気づかされることだなあ。
藤原敏行朝臣は平安朝前期の歌人。能書家。法華経書写を好んだ。36歌仙の一人。
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今日8月20日はこの歌を導いてくれた。立秋はとっくに過ぎている。ややに涼しい風が吹いている。風が木々の枝葉を揺らしている。夕方5時近い。そろそろ外に出て農作業をしてみようか。
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藤原敏行朝臣には次の歌もある。
白露の色はひとつにいかにして秋の木の葉をちじに染むらむ
白露が落ちてひんやりしてくるともう秋が深まっている。白露は白一色なのにどうして秋の木の葉はさまざまな色に染まって行くのだろうか。なるほど、そうだよねえ。全山がこれから黄色や赤や紅に染まっていく。露が染めている訳じゃないから、なんて無粋を言わないでね。