コアラの育て方

昨日の　花風社　「愛甲さんに質問する会」では　たくさんの方の質問と、


それに対する　愛甲さんの答えを聞く事ができました。


浅見さんがわかりやすくたとえて下さったり、言いかえて下さったり


愛甲さんと　浅見さんの　会話などから、新しい知識を得られました。


以前聞いた事や　過去に読んだ本の事も　思い出され、いい勉強になりました。


その後の　饗宴で、皆さんと　食事をしつつおしゃべり。


発達凸凹についてや　子育て、家庭の環境、夫婦の関係や


家事分担や　子育てに協力的か否か、など、様々な話題が出ました。


そこから　結婚歴やら　配偶者がどうのこうの、という話に。


私も　夫の話をしたのですが、夫は　世間の人から見たら、


突出したいい所がない人です。


職場に行って　一日過ごし、人と会話するだけで疲労がすごい。


本人は　死にもの狂いなのですが、毎日　限界まで仕事してるので、


能率が上がるわけがないし、上司から見たら「何をやってるんだ？」としか


思われない。何とか適応できていた会社で　リストラに遭い、


転職は数限りなく、数十回。本当に大変でした。（夫が）


対人恐怖なので、バスや電車に乗れません。


自閉っ子が電車に乗れるようになるのにも　数年かかりましたが、


夫は　昨年初めて　地下鉄や　私鉄に乗りました。


自発的ではなく、どうしても駐車場がない場所に出向くためです。


なんとか口実をつけて　行かないと言い張るのを、


私や息子が　ガードして、「あといくつで降りる駅だから」と


守りつつ出かけました。


買い物ができるようになったのも、私が　病気で運転を止められてから。


最初は　苦労していたようですが、「しょうゆとめんつゆ」


「白菜とキャベツ」「６枚切り食パンと８枚切り食パン」の区別なども


できるようになり、「これ切れてただろ」と卵を買ってきたりもします。


素晴らしい！と　我が家では拍手喝采ですが、よそではそういう反応ではないそうで。


私は　以前も他の場所で「夫　コアラ理論」を　滔々と述べ、


そこにいる人たち、特に男性陣に　大うけした事があります。


昨日も　「オット　コアラ理論」を　話してきました。


１　オットは　コアラであるから、自分のテリトリー外に出掛けるだけで


　　ストレスを感じる。デリケートな生き物である。


２　コアラであるから、長時間眠って　休息をとらないと、生命の危機である。


　　やたら　だっこしたり、なでたり触ったりせず、健康状態を見守る必要がある。



３　ユーカリの葉っぱしか食べないし、新鮮でないとだめだとか、


　　この種類でないとだめだとか、食には気をつかう必要あり。


　　（浅見家のご主人は　タフで　メンタルも強い方ですが、食については


　　　我が家とは別な基準がおありだそうで、なるほど！と感服しております。）


４　　やたら手がかかるけれど、実用性はない。手間がすご～～～くかかるけれど、


　　　　家の番をするとか、毛皮や　羊毛が取れるとか、食肉になるとか


　　　　そういう事は何もない。


５　　　デリケートなので、自分のテリトリーに（赤ん坊）がいる、というだけで


　　　　ストレスがかかる。なので　子どもたちが小さい時には


　　　　一番遠い部屋で　寝起きしてもらい、泣き声が聞こえたりしないようにした。


　　　　子ども達がパニックなどを起こさなくなり、お互い意思疎通ができるようになってから


　　　　一緒にTV見て　おやつを食べる、というのが　父親デビューでした。


　　　　様子を見ながら　徐々に　一緒に居る時間を増やしていきましたが、



　　　　今思うと「パンダのお見合い」みたいでしたねえ。様子見て　離したり、


　　　　時間置いて　また会わせたり（笑）　



６　　　「役に立たないが　ものすごくてがかかる。見返りはまずない」というのが


　　　　コアラの飼育であって、飼育員は　ひと時も気が抜けないのですが、


　　　　なにしろ　十二分に配慮して飛行機で移動しよその土地になじんだように


　　　　見えても　突然死んじゃったりする。飼育員はひたすら「コアラが長生きするよう、


　　　　病気にならないよう、できれば繁殖も成功するよう、必死にがんばるのが使命なのです。


７　　　特徴のない顔で、「どこにでもいるおっさん」ですが、私が一回で顔を覚えられた人なので、


　　　　これはもう　相貌失認の私にとっては　願ってもない配偶者。



　　　　最初のデートで、昼食時になりましたが、予約はしてない（できるわけない）ので、


　　　　あちこち車で走りつつ、「混んだ店は嫌です」とスル―。空いてる店は、


　　　　超高級店か、予約のお店。結局私は　お昼を食べさせてもらえなかったのですが、


　　　　それでも　二人での　超長い（なにしろどこにも立ち寄らないんだから）ドライブが


　　　　楽しかったし　安心できたので　結婚したのでした。


　　　　私は　動物全般が好きで、一番好きなのは　蛇などの爬虫類ですが、


　　　　蛇買うのは大変だし、生餌を取るのも大変だし、逃げてよそのうちのペット食べちゃっても

　　　　
　　　　困るんで、今は猫を１匹飼ってます。



結論。コアラは　「家畜」のように　人の役には立たないし、弱いし世話が大変ですが、


　　　コアラを拾ってしまった以上、十分にケアをして、長生きさせるのが　飼育員の指名です。


　　　なので　私は　夫が　普通の人が苦も無くできる事を　疲労困憊してやっている事が


　　　現場を見なくともわかるので、じゃあ　私ができるだけの世話をしようじゃないか、


　　　よそに預けたり、休息時間削ったり、ストレス与えたら　急死しかねない生き物ですから。


　　　世間の人が　「何で　（あんな）旦那さんと結婚したの？」と　失礼な質問をしてきますが、


　　　私は　夫の世話をしたり、一緒にご飯食べたり、そういう事が楽しいので、


　　　（犬や　猫飼ってる人には　コアラを飼う醍醐味はわからないよね）と思います。


　　　　しつこい人には「じゃあ、お宅はうちよりもご夫婦円満で、お幸せなんですね」と


　　　　返す事にしています。たいてい２度と聞いてこなくなります。



　　　　何もできなくてもいいんです。佐々木先生の「ありのまま」には反対ですが、


　　　　我が家のコアラは　毎日死にもの狂いでがんばってますから、


　　　　家では　「ありのまま」で　よいのです。「TVつけっぱなしでうたた寝」も


　　　　「勝手に私の分まで食べつくし」も　すべてOK。


　　　　私も　腹が立つ事が　ありますが、まあ些細な事なので、


　　　　長引かないです。



　　　　私と実際に会った方は、「変わった人」という印象を持つ方が多いと思います。


　　　　夫は　私が見ても　「変わった人」なので、似た者夫婦で　長続きしているのだと思います。


　　　　家事育児介護、夫がリストラされた時期は　パートに出て私が生活費を稼ぎましたが、


　　　　ただでさえ「失業」「就活」という過酷な状況のコアラ、いや夫の負担を軽減するために、


　　　　余力のある私が　動くのが一番いいと思っただけで、私は苦労とは感じませんでした。


　　　　だって　普通のご主人が　警察犬や盲導犬や　家庭の番犬や　セラピー犬だとしたら、


　　　　私の夫は　コアラ。コアラは自分じゃ環境整備もできないし、ケアしても死んじゃうくらいですから


　　　　毎日　心身の調子を見て、ストレスを軽減して　空調その他にも気を配らねば。


　　　　今日は　コアラ、いや夫が　喜ぶお土産がたくさんあるし、夫がうれしそうな顔になれば、


　　　　見ている私は　その何倍も　何十倍もうれしいわけで。


　　　　私の世話には　満足していないコアラさんは、TVで女性が映ると


　　　　「昔見合いした人がこんなだった・・・」「こういう人と結婚したかった・・・」と


　　　　正直に延々と話を続けます。その人たちが　夫を振ってくれたおかげで


　　　　今　私は　幸せだし、息子達も　無事育ってくれたわけで、ありがたい限りです。


　　　　わが家のコアラ飼育記録は　まだ３２年です。５０年以上を目標にがんばります。


　　　　以前こういう話をした時に　発達当事者の男性から、「自分もコアラになりたい」と


　　　　言われましたが、わが家にはもうコアラがいるので、「ご自分でコアラ飼育員を見つけてくださいね」と


　　　　答えてきました。


　　　　コアラ夫は　自覚があるのかないのか、コアラ色のグレーの車がお気に入りで、


　　　　今日も出勤していきました。お土産がある事は　電話してあるので、


　　　　楽しみにして帰ってくると思います。


　　　

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