The Game is Afoot

ミステリ関連を中心に 海外ドラマ、映画、小説等々思いつくまま書いています。

『カッコウの呼び声』私立探偵コーモラン・ストライク:ロバート・ガルブレイス著

2018-09-23 |  ∟私立探偵ストライク
”The Cuckoo's Calling” C.B.Strike : Robert Galbraith

ロバート・ガルブレイス(著)、池田真紀子(翻訳)
講談社刊
上下刊

『内容紹介』
悩みを抱えたスーパー・モデルが、ある雪の日に高級住宅街のバルコニーから墜落死した。自殺
と断定した警察を疑った兄は、私立探偵コーモラン・ストライクに調査を依頼する。ストライク
はオックスフォードを中退後従軍し、アフガン戦争で片足切断、借金まみれでフィアンセにも逃
げられ、最低の人生を送っていた。これは大きなヤマだ。この事件が運命を変えるきっかけにな
るかもしれない……。しがない私立探偵の大活躍!

内容(「BOOK」データベースより)
悩みを抱えたスーパーモデルが、うっすらと雪の積もったロンドン高級住宅街のバルコニーから
転落死した。警察も世間も事件を自殺と片づけたが、疑いを抱いた彼女の兄は、私立探偵コーモ
ラン・ストライクに調査を依頼し…あのJ.K.ローリングが、「ロバート・ガルブレイス」のペン
ネームで書いていた、大絶賛のミステリー小説!!

先日、BBCドラマ版としてご紹介した原作本です。
ドラマの初放送に関しては2ケ月近く前こちらに書いたのですが、それ以来連日多くの方に閲覧
頂き関心を持つ方が多い事にビックリしている所です。

生憎TV放送はチャンネル契約していない為観られないので(口惜しい!)他局での放送を心待ち
にしながら原作を先に読みました。

先ご紹介した通り、この作品は、「ハリー・ポッター」の作者J.K.ローリングが別名である 
ロバート・ガルブレイス名で発表した大人向けの探偵小説です。
ハードカバー上下組で登場人物も多く、名前を憶えているのも大変(汗)っていう点もありま
すが一気に読みました。

何よりもキャラクターの魅力が大きいです。
主人公のコーモラン・ストライクは有名なロック歌手の息子。但し婚外子である為母の姓を名
乗っている。
クマの様な毛むくじゃら(?)な大男。 母の死をきっかけに大学を中退しアフガニスタンに
従軍、特別捜査官としての勤めを果たしていた中爆弾で片足を失い義足を装着している。探偵
事務所を始めるが 美しいパートナーとも別れ、借金を抱え込んでる。
そんな時、依頼人が現れ ルーラ・ランドリーというスーパーモデルが転落死した事件の調査
を高額の報酬で依頼される。 彼女は自殺としか思えない状況で死亡したのだが、兄は真相を
知る為に子供の頃死亡した弟の友人であったコーモランの元を訪れたのだった。

丁度そんな時初めて訪れた派遣の秘書ロビン・エラコットの力を借りながら捜査を進めていく。
ロビンは婚約したばかりで正規の仕事を探しながら派遣で仕事をしているが、探偵の秘書とい
う仕事に心を躍らせる様子が可愛い。
このロビンがとんでもなく気が利き、有能であることに気付き次第に頼りにする様になるコー
モラン。

複雑な家族問題、パートナーとの問題、金銭問題、身体の問題等々沢山の物を背負いながら
捨て鉢にはならず、周囲にも気使いが行き届くコーモラン。 やさぐれ感が無いのが好ましい。
又その捜査方法は地道にコツコツと自分の足で進め(懐具合にもより 移動も主に地下鉄等
公共機関を使用。たまにタクシー)、対象者との面談においてもこまめにメモを取り 几帳
面に捜査資料を整理しながら事件を追っていく。 外見からは窺えない明晰な頭脳。

そして、そんなコーモランの頭脳と判断力に敬意を払いつつ、何とか認められたいと頑張る
ロビンが可愛く、二人の掛け合いが楽しく、微笑ましい。
お互いに対する思いやりを保ちつつ、節度ある距離感を保つ二人の関係が心地よいです。
ロビンがいつの間にか”コーモラン”とファーストネームで呼ぶようになり、送って来るメー
ルの最後に”X”=kissを付けている事にも気付かない振りをしながら 何となく嬉しそうな
コーモランの様子が可愛いのですよ。

コーモランが歩き回るロンドンの街の風景が細かく描かれていて、この点はシティーマップ
が必要かな?とも思うけど、情景が目に浮かぶ様で ロンドン好きには溜まらないかも。

ワクワク、ドキドキするスピード感あふれる展開ではなく、ジックリ真相に近づく緊迫感に
溢れ、派手ではないが上質で本格的な探偵小説と感じられました。
 
ストーリーテリングは流石と思わせられるが、何と言ってもコーモランとロビンのキャラク
ターが際立っています。
そう言えば、ロビンの派遣期間終了の時、コーモランがロビンにあるプレゼントをするので
すがこれが泣かせてくれます。 ロビンが欲しがっていた品物をしっかり覚えていたコーモ
ラン。そしてそれを知ったロビンが涙を流す。ちょっと胸が熱くなります。
そんな2人の関係がどうなるのかも気になるところ。

もし”ロバート・ガルブレイス”がローリング女史である事を知らずに読んだとしたらどんな
感想を持かしら?とフト考えてみましたが、やっぱりハマってしまっただろうと・・・・。

以前ご紹介しましたが、2作目の「カイコの紡ぐ嘘」も読了しています。

そのうちに又感想を書ければ・・・と思っていますが。
「カッコウの呼び声」はファッション業界が背景でしたが、2作目は出版業界が背景になって
います。 
そして、
コーモランの異母弟も登場。活躍します。

3作目の ”Career of Evil”


そして、前回の時点では未だ発表されていなかった4作目
”Lethal White” も発売になっています。


何とか早く翻訳されることを期待しています。

ローリング女史はインタビューで、このシリーズは少なくともあと10作位は続けたいと語って
いました。楽しみが出来ました。


ところで、
BBC版ドラマは未契約の為観られないと泣いていた所、先日偶然に見逃し配信を見つけE1の
みですが観る事が出来ました。
このドラマ版に関してもそのうちに感想を書いて見ようと思っています。