知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

副引用例と本願発明との技術分野の相違

2011-06-12 20:27:11 | 特許法29条2項
事件番号 平成22(行ケ)10144
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成23年06月07日
裁判所名 知的財産高等裁判所  
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
裁判長裁判官 塩月秀平
 
 原告は,・・・審決の示す引用例4及び5は,顕微鏡とは無関係の分野における技術であり,当業者がこれを顕微鏡分野に持ち込んで適用することは容易ではないと述べる
 ・・・
 引用例4は,・・・。また,引用例5は,・・・。そうすると,両引用例は,光ファイバを介してレーザパルスを供給する際に生じる群速度分散を,レーザパルスの光路長を各波長毎に変更する光学配列を設けることにより補償するという技術事項が,本件優先日当時に周知の技術であったことを示している。なお,2光子顕微鏡に関する引用例3においても,群速度分散を光学配列を設けることにより補正するという技術事項が開示されている。

 他方,引用発明は,パルス光源からのパルス状のプローブ光が,光ファイバである光ガイド等を経て近接場走査光学顕微鏡に入射されるものであるから,引用例4及び5に接した当業者であれば,引用発明においても,光ファイバを伝搬するパルス状のプローブ光が群速度分散によって波形が変形するという課題を有するものと認識し,この課題解決のため,引用例3~5に開示された解決手段である,レーザパルスの光路長が各波長毎に変更される光学配列という周知技術を,容易に採用し得るものといわなければならない。したがって,原告の上記主張は,採用することができない。

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