知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

特許請求の範囲の用語の明細書中の定義

2012-10-29 01:25:50 | 特許法その他
事件番号 平成24(ネ)10018
事件名 特許権侵害差止等請求控訴事件
裁判年月日 平成24年10月11日
裁判所名 知的財産高等裁判所  
権利種別 特許権
訴訟類型 民事訴訟
裁判長裁判官 芝田俊文、裁判官 岡本岳,武宮英子

 しかしながら,特許請求の範囲は,特許法施行規則24条の4により様式第29の2により作成しなければならないとされ,様式第29の2において,「用語はその有する普通の意味で使用し,かつ,明細書及び特許請求の範囲全体を通じて統一して使用する。ただし,特定の意味で使用しようとする場合において,その意味を定義して使用するときは,この限りでない。」(備考9)とされているから,請求項に記載された用語(発明特定事項)の意味内容が明細書及び図面において定義又は説明されている場合は,その用語を解釈するに当たってその定義又は説明によることとなる。そして,本件明細書2には,「本明細書において,「上半身部品」とは,腰より上の部分をいい,「下半身部品」とは腰から下の部分(腰部含む)をいうものとする」(【0001】)と記載され,「上半身部品」と「下半身部品」が定義されているから,本件発明2の「上半身部品」及び「下半身部品」の意味は,上記定義によることになる。控訴人の上記主張は,本件明細書2に定義された用語の意味に反するものであり採用することができない。

イ 控訴人は,被控訴人自身が,その広告等(甲48~54)において,「胸部骨格から上の部分に相当する部分(外皮)を「上半身パ-ツ」,腹部骨格から下の部分に相当する部分(外皮)を「下半身パ-ツ」と称していながら,本件訴訟において限定的に解釈すべきであると主張することは,いわゆる禁反言の法理に反し許されないとも主張する。
 被控訴人の上記広告等において,胸部骨格から上の部分に相当する部分(外皮)を「上半身パーツ」,腹部骨格から下の部分に相当する部分(外皮)を「下半身パーツ」と称していることが証拠上認められるが,そうであるからといって,上記アの説示に照らして,本件明細書2を解釈する際に,同広告等における用語の使用例に従わなければならない理由はない。被控訴人の主張が禁反言の法理に反するものということはできず,控訴人の上記主張も理由がない

最新の画像もっと見る