知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

拒絶査定時に引用されていない拒絶理由の引例で審決するのは適法か

2006-03-26 21:49:54 | 特許法29条2項
◆H15. 3.31 東京高裁 平成14(行ケ)41 特許権 行政訴訟事件
特許法29条2項

(注目点)
 拒絶査定時には甲9,10を引用例としたが、拒絶理由には、甲6も示されていた。審決時に、甲6で審決できるか。

(判示)
  (1) 審査においてした手続は,拒絶査定に対する審判においても効力を有し(特許法158条),審査官のした拒絶理由の通知(同法50条)も,審査における他の手続と異なるところはない。審査官は,本願発明について,引用例発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとする拒絶理由通知書(甲8)を発しているから,審判において,上記拒絶理由に基づいて審判請求が成り立たない旨の審決をする限り,改めて拒絶理由の通知をすることを要しない。
  (2) 原告は,拒絶理由を事前に通知しなかったことにより原告に意見を述べる機会が与えられなかったと主張するが,原告には,審査官の発した上記拒絶理由通知に対し意見を述べる機会を与えられているから,同一の拒絶理由について改めて審判において通知を受けなくとも,意見を述べる利益を害されたということはできない。したがって,拒絶理由通知に係る手続違背をいう原告の主張は理由がない。

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