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知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

商標法4条1項10号にいう「他人」について

2007-09-26 06:54:24 | Weblog
事件番号 平成19(行ケ)10080
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成19年09月13日
裁判所名 知的財産高等裁判所
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
裁判長裁判官 田中信義

『1 取消事由1について
原告は,引用商標は,原告が独自に創作したものであり,被告は単なる通常使用権者にすぎないから,同商標は,商標法4条1項10号の「他人の業務に係る商品・・・を表示するものとして需用者の間に広く認識されている商標」に該当しないと主張するので,以下において検討する。

 商標法4条1項10号は,「他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需用者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であって,その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの」については商標登録を受けることができないと定めている。

 上記規定の趣旨は,特定人の業務等に係る商品等を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標(以下「周知商標」という。)について,同一又は類似の商品等につき,同一又は類似の商標の登録を上記特定人以外の者に認めたのでは商品等の出所を識別することが困難となり,商品流通秩序が損なわれるため,後者の商標登録を許さないとする点にある。そうすると,上記規定の「他人」とは出願者以外の者を広く指称するものと解するのが相当であるところ,引用商標が被告の商品に使用されていることは原告も認めるところであるから,これが上記規定にいう「他人の商標」に当たることは明らかである

 以上の説示から明らかなように,上記規定の適用においては,周知商標の創作者が誰であるかは何ら関係を有するものではないから,仮に,引用商標が原告の創作に係るものであり,原告の許諾を得て被告が使用するものであるとしても,上記の他人性を肯定することに何ら影響するものでないことは明らかであって,引用商標が「被告の商品である焼き鯖寿司」を表すものとして需要者の間に広く認識されているとするならば(この点は次項において認定判断する。),引用商標は被告の商品の出所を示すものとして,商標法4条1項10号にいう「他人の業務に係る商品・・・を表示するものとして需用者の間に広く認識されている商標」というべきである。』

次の事件も同趣旨を含む。
事件番号 平成19(行ケ)10093
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成19年09月13日
裁判所名 知的財産高等裁判所
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
裁判長裁判官 田中信義

事件番号 平成19(行ケ)10092
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成19年09月13日
裁判所名 知的財産高等裁判所
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
裁判長裁判官 田中信義

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