知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

民訴法248条の趣旨にかんがみた損害額の認定事例

2010-08-15 17:50:13 | Weblog
事件番号 平成19(ネ)10032
事件名 特許権侵害差止等請求控訴事件
裁判年月日 平成22年07月20日
裁判所名 知的財産高等裁判所
権利種別 特許権
訴訟類型 民事訴訟
裁判長裁判官 塚原朋一

・・・
(6) 以上,2つの方法で計算した試算値を比較すると,原告の主張する溶融アルミニウムの売上額による算出方法は,特許法102条3項等が想定する実施料を算出する方法として普通に用いられるものではなく,このため実施料率自体は通常の場合の下限値を用いたものの,それでもなお,同方法によって算出された金額は真実の数値を相当程度上回っているものと考えられる。
 他方,被告の主張する取鍋の購入価格・修理価格による算出する方法も,同方法によって算出された金額は真実の数値とは大きく懸絶しているものと考えられる。
 両者の試算値には誤差の範囲を超えた大きな相違がある。その原因は,算出の考え方,前提事実が全く異なっていることを考えると,当然の結果であり,両者を単純平均した数値を採用することは相当であるとはいえない。 

  しかも,当事者は,それぞれ,自己の主張する算出方法が正当であると主張しており,当裁判所が独自に第三の算出方法を案出することも,これを相当とする状況にはない

 そこで,当裁判所としては,民訴法248条の趣旨にかんがみ,口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果を参酌し,原告が主張した,溶融アルミニウムの売上高を基準とする算出方法に基づいて得られた試算値を出発点として,公平の見地から,これに0.5を乗じた金額をもって,実施料相当額であると認定するものである。

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