知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

不使用取消につき再審請求された引用商標

2008-06-29 20:23:35 | 商標法
事件番号 平成20(行ケ)10042
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成20年06月25日
裁判所名 知的財産高等裁判所
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
裁判長裁判官中野哲弘



『3 取消事由2(再審による引用商標の消滅)について
(1) 再審請求に係る事実関係
証拠(甲18~23,乙14~18〔枝番があるものはこれを含む〕)によれば,以下の事実が認められる。

ア 原告は,平成17年8月30日,引用商標の商標権者である株式会社クラブコスメチックスを被請求人として,各引用商標の不使用を理由とする法50条1項に基づく商標登録の取消審判を請求した(取消2005-31061号,同31062号,同31063号,同31067号,同31068号)が,各引用商標はいずれも同審判の予告登録前3年以内に使用されていたとして,特許庁により請求不成立の審決(平成18年3月31日ないし4月11日付け,甲18-3,19-3,20-3,21-3,22-3)がされた。

イ 大阪地裁は,平成16年(ワ)第7663号商標権侵害差止等請求事件(原告株式会社クラブコスメチックス,被告株式会社フィッツコーポレーション)に係る平成19年11月5日言渡しの判決(甲18-4)において,前記引用商標1~3に関し,「したがって,原告が本件原告商標等の『LOVE』商標を使用していたのは,昭和50年6月12日のスミス・クライン・アンド・フレンチオーバーシーズ・カンパニー及びラブジャパン社との和解成立までであり,通常実施権者の使用も平成元年9月28日までであるから,被告による被告標章の使用開始時である平成15年8月…まで長期間にわたって本件原告商標等の『LOVE』商標は使用されていなかったものである。」(20頁2行~8行)などと認定した

ウ 原告は,上記大阪地裁判決の認定を援用して,平成19年12月4日,特許庁に対し上記各審決に対する再審請求(再審2007-950006~10号)を行った

(2) 原告は,上記のような事実関係を前提に,引用商標は上記不使用取消審判の再審請求により不使用取消審判の請求登録時の3年前である平成14年9月14日又は請求登録時である平成17年9月14日に遡って消滅するから,これを引用商標とする審決の判断は誤りである旨主張する

 しかし,登録商標は,これにつき不使用取消審判の再審請求があったとしても,現に商標登録の取消しを認める審決がなされかつ同審決が確定するまでは依然として有効に存続するものであるところ,弁論の全趣旨によれば,本件口頭弁論の終結時である平成20年5月28日当時,本件における引用商標につき商標登録の取消しを認める審決がなされこれが確定したと認めることはできない

 したがって,原告の上記主張はそれ自体失当といわざるを得ない。』

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