知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

数値限定の意義の判断事例

2011-05-08 15:49:15 | 特許法29条2項
事件番号 平成22(行ケ)10365
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成23年04月27日
裁判所名 知的財産高等裁判所
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
裁判長裁判官 飯村敏明

 本願発明は,所定機器を停止してからこの所定機器を動作状態に復帰させるまでの時間である第二設定時間について,「前記第二設定時間は,15~30秒に設定される」と特定されており,本願明細書(甲3)を参照すれば,「第二設定時間は,電力消費(過負荷)のピーク持続時間を考慮して定められ,本実施例では通常,15~30秒に設定される。」(段落【0034】)と記載され,電力消費(過負荷)のピーク持続時間を考慮して定めることは示されているものの,下限を「15秒」,上限を「30秒」とした根拠は記載されておらず,第二設定時間を「15~30秒」に限定した技術的意義については示されていないというべきである。

 他方,引用例1には,本願発明の第二設定時間に対応する時間を「3分」としたことが,また,引用例2には,同じく「15秒」としたことがそれぞれ記載されており,いずれの引用例にも,前記時間を特定した根拠については明示されていないことからして,前記時間は,少なくとも15秒ないし3分の範囲であれば,当業者が適宜設定できる値であると考えるのが自然である。

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