知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

発明の奏する効果の認定事例

2013-03-31 23:00:12 | 特許法29条2項
事件番号 平成24(行ケ)10111
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成25年01月28日
裁判所名 知的財産高等裁判所  
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
裁判長裁判官 芝田俊文,裁判官 西理香,知野明

(6) 本件発明1の効果について
 本件発明1は,前記(2)のとおり,反射層を白色顔料及びバインダー樹脂で形成することで,高い発光取り出し効率をほとんど減じることなく,鮮鋭性が飛躍的に向上するものである。甲1発明の拡散反射層は,前記(3)のとおり,二酸化チタン及び結合剤を溶剤中に混合分散して塗布液を調製した後,これを支持体上に塗布乾燥することにより形成するものであり,白色顔料及びバインダー樹脂で形成されているものである。
 そうすると,甲1発明も,本件発明1と同様に,高い発光取り出し効率をほとんど減じることなく,鮮鋭性が飛躍的に向上するものと認められる。

 なお,平面受光素子面間での鮮鋭性の劣化が少ないという効果について,本件明細書には
なお,シンチレータパネルと平面受光素子面を貼り合せる際に,基板の変形や蒸着時の反りなどの影響を受け,フラットパネルデテイクタの受光面内で均一な画質特性が得られないという点に関して,該基板を,厚さ50μm以上500μm以下の高分子フィルムとすることでシンチレータパネルが平面受光素子面形状に合った形状に変形し,フラットパネルデテイクタの受光面全体で均一な鮮鋭性が得られる(【0062】)
との記載はあるが,本件発明1は,基板を厚さ50μm以上500μm以下の高分子フィルムとするものとしては特定されていない。したがって,本件発明1は,平面受光素子面間での鮮鋭性の劣化が少ないという効果を奏するものとはいえない

 以上のとおり,本件発明1の効果と同様の効果を甲1発明も奏するものであるから,本件発明1は,当業者が予測し得ない格別の効果を奏するものであるとはいえない。

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