知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

判断の根拠を証拠による認定事実に基づき具体的に明示することを必ずしも要しない場合

2013-03-31 22:54:08 | 特許法29条2項
事件番号 平成24(行ケ)10111
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成25年01月28日
裁判所名 知的財産高等裁判所  
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
裁判長裁判官 芝田俊文,裁判官 西理香,知野明

(ア) 上記イの各種刊行物の記載内容から判断すると,「蒸着により膜形成を行う場合,蒸着させる対象の表面の材質,構造により膜の成長がうまくいくかどうかが左右されること」は,当業者にとって常識的な事項であることが優に認められる
 原告は,審決は,何ら主張立証のないまま,「蒸着により膜形成を行う場合,蒸着させる対象の表面の材質,構造により膜の成長がうまくいくかどうかが左右されることは,当業者にとって常識的な事項である」と認定し,これを相違点1に係る容易想到性判断の当然の前提としており,この点において理由不備の違法があるとと主張する。

 しかし,発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者の技術上の常識又は技術水準とされる事実などこれらの者にとって顕著な事実について判断を示す場合は,その判断の根拠を証拠による認定事実に基づき具体的に明示することを必ずしも要しない最高裁昭和59年3月13日第三小法廷判決裁判集民事141号339頁参照)ところ,「蒸着により膜形成を行う場合,蒸着させる対象の表面の材質,構造により膜の成長がうまくいくかどうかが左右されること」は,当業者にとって常識的な事項であるから,この点について判断を示す場合は,その判断の根拠を証拠による認定事実に基づき具体的に明示することは必ずしも必要ではない。

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