知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

原画の著作権者の許諾を得ることなく増刷された絵本

2012-04-15 10:04:50 | 著作権法
事件番号 平成20(ワ)36852
事件名 損害賠償請求事件
裁判年月日 平成24年03月30日
裁判所名 東京地方裁判所  
権利種別 特許権
訴訟類型 民事訴訟
裁判長裁判官 阿部正幸

(エ) Bは,・・・,絵本の印刷数を1万冊とし,・・・,画家に支払う画料は絵本1タイトルにつき50万円程度とするのが適当ではないかと考え,その旨を原告A2ら画家たちに伝えた。また,Bは,画家たちに対し,この絵本のシリーズが成功するようであれば,将来被告において新たに絵本を制作する機会もあるだろうから,その際には新たな挿絵の制作を依頼したいと考えている旨を伝えた。
・・・
本件会合では,・・・,被告側と原告側との間で,絵本原画制作の基本的な方針(原画の大きさ(サイズ),1書籍当たりの原画の枚数,絵本の中の文章部分の位置等)が確認されるなどした。なお,本件会合では,絵本の原画の著作権がどのように取り扱われるのか(著作権は画家が保持するのか,それとも画家から被告に譲渡されるのか)という問題や,被告において本件書籍を将来(数年後に)増刷する予定があるのか,増刷する際に本件原画の著作者(画家)に対して被告から別途画料が支払われるのかという問題については,特段話題に上らなかった
・・・
(ク) 被告は,平成20年4月から平成22年12月までの間に,別紙書籍増刷表記載のとおり本件第1書籍を増刷し(本件増刷),これらを幼稚園等向けに販売した。被告は,本件増刷に当たって,原告らから増刷について改めて許諾を受けることも,追加の画料を支払うこともしなかった。そのため,原告らは,本件増刷がされた当時は増刷の事実を認識していなかった。
・・・
(3) 以上のとおり,被告は,本件第1原画の著作権者である原告らの許諾を得ることなく本件第1書籍を増刷し,これを販売したものであるから,本件第1原画に係る原告らの著作権(複製権及び譲渡権)を侵害したものと認められる。

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