知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

漫画キャラクターの独占的商品化権

2012-07-29 23:26:25 | 著作権法
事件番号 平成23(ワ)35541
事件名 許諾料返還請求事件
裁判年月日 平成24年07月19日
裁判所名 東京地方裁判所  
権利種別 著作権
訴訟類型 民事訴訟
裁判長裁判官 高野輝久

 被告は,原告が,本件パチンコ遊技機を製造販売することにより,本件漫画に関する被告の独占的商品化権若しくは独占的に商品化して得られる利益を侵害した旨主張する。かかる主張は,上記権利ないし利益の内容を含めて,その趣旨が判然としないが,これをもって,本件パチンコ遊技機の液晶画面の表示等が,本件小説の二次的著作物である本件漫画の著作権,特に複製権・翻案権を侵害しているという趣旨であると善解することができるとしても,被告は,本件パチンコ遊技機の液晶画面の表示等が本件漫画に依拠したものであることについて何ら具体的な主張立証をしないばかりか,本件漫画の表現と上記表示における表現とが完全に違っていることを自認しているから,本件パチンコ遊技機を製造販売することが本件漫画の複製権・翻案権を侵害するとは認められない

(2) また,被告は,本件漫画に登場する「桃太郎侍」などのいわゆるキャラクターが著作物であるかのような主張もするが,本件漫画を離れ,キャラクター自体を著作物と認めることはできないというべきであるから(最高裁平成9年7月17日第一小法廷判決民集51巻6号2714頁参照),被告の上記主張は失当というほかない。

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