知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

動機づけがないばかりか阻害事由があるとした事例

2013-02-27 22:33:25 | 特許法29条2項
事件番号 平成24(行ケ)10166
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成25年01月17日
裁判所名 知的財産高等裁判所  
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
裁判長裁判官 土肥章大、裁判官 井上泰人,荒井章光

 以上のとおり,引用発明1及び2と本願発明とは,いずれも運動靴の靴底(表底)に関するものであって,技術分野を同一にするが,引用発明1は,運動靴の接地に伴う急速な安定性を解消して弾性をもたらそうとするものであるのに対し,引用発明2及び本願発明は,運動靴の接地に伴う弾性を解消して安定性をもたらそうとするものであって,その解決課題及び作用効果が相反しているから,引用例1には,本願発明の本件相違点に係る構成を採用すること又は引用発明2を組み合わせることについての示唆も動機付けもないばかりか,引用発明1は,接地による荷重が掛かった際に上部辺が前後に揺れるような構成を採用しているため,これとは相反する本願発明の本件相違点に係る構成を採用することについて阻害事由があるということができ,さらに,仮に引用発明1に引用発明2を組み合わせたとしても,それによって本願発明の本件相違点に係る構成が実現されるものではない。
 したがって,引用例1に接した当業者は,これに引用発明2を適用して本願発明の本件相違点に係る構成を容易に想到することができたということはできない。

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