徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

海達公子没後84年

2017-03-25 14:06:53 | 文芸
 明日3月26日は大正から昭和初期に天才少女詩人と謳われた海達公子の没後84年の日。荒尾市総合文化センターでは、海達公子顕彰会の主催による恒例の「海達公子まつり」が行われている。
 公子は小学2年生の頃から文芸誌「赤い鳥」に投稿を始め、選者だった北原白秋にその特異な才能を称賛された。この「赤い鳥」に投稿した数多くの作品のうち、誌面に掲載された作品が92編、うち推奨作品に選ばれた作品が18編ある。その18編は下記のとおり。
 なお、公子は「赤い鳥」の他にも童謡誌「金の星」など、多くの雑誌や新聞等に投稿した。なかでも「金の星」の選者を務めていた若山牧水は早くから公子の才能に注目し、九州旅行の際、わざわざ荒尾の公子の家を訪問し激励している。

◆文芸誌「赤い鳥」で 推奨作品に選ばれた18編

ひし
 とがつたひしのみ うらでもずがないた (大正13年7月号)尋常小2年

まつむし
 まつむし なき出した 青い山 (大正13年8月号)尋常小2年

夕日
 もうすこうしで ちつこうの さきにはいるお日さん
    がたにひかつて まばゆい まばゆい (大正13年9月号)尋常小2年

おみや
 おみやのもりから たん たん たん
    おみやのたつおと たん たん たん (大正13年12月号)尋常小2年

ぼたん
 まつかなぼたん 今洗つた 私の顔 (大正15年11月号)尋常小4年

白い朝顔
 葉がうつつて うす青い朝顔 そばへいつて見たら 白光りに 光つてゐて
    蟻が一ぴき おくの方を はうてゐた (昭和2年2月号)尋常小5年


 しやうじのそばへ 手をやつたら うす寒かつた
    雨の音が まだしてゐる (昭和2年8月号)尋常小5年

雨上がりの朝

 雨上がりの庭の 明るさ ばらのつぼみが
    はりわれそうだ (昭和2年9月号)尋常小5年

お日さん
 雲雀と雲雀と なきあつてゐる まん中に
    白いお日さんが ういてゐる (昭和2年10月号)尋常小5年

秋の朝
 朝顔が 少ししか 咲かんやうになつた こほろぎが どつかでないてゐる
    足にさはつた夏水仙の花も しぼんでゐる (昭和3年1月号)尋常小6年


 星が 遠いあかりのやうだ 虫の聲にきえさうだ (昭和3年2月号)尋常小6年

百舌鳥
 まだ刈つてない 田をはさんで 百舌鳥が二ひきでなきあつた
    朝日の光の つめたさよ (昭和3年4月号)尋常小6年

落穂ひろひ
 麦の穂をひらふ おばあさん 袋をからうてゐる
    どこの おばあさんだらうか 雲仙嶽も くれかゝつてゐる
       どこの おばあさんだらうか (昭和3年9月号)尋常小6年

ばらのつぼみ
 がくのひらいたばらのつぼみ つまんで はなしかゝつたら
    指についてふくらんでくる 山本さんが
      「海達さんいこーい」と さそひにきなさつた (昭和3年11月号)尋常小6年

川口
 ときわの穂が 夕風になびいてゐる 川口へ来た
    あびてゐる みんなの聲をとほして 高々と帆をあげる音
       吹きとばされさうになつた 帽子をおさへた
          沖の光に かもめが飛んだ (昭和3年12月号)尋常小6年

ぬくいおえん
 ぬくいおえんにすわつて 山の方を見てゐた うすい霧のひいた山に
    はぜ紅葉がぼうつと見えてる
       ぽんぽん てまりの音がはずんでゐる (昭和4年1月号)尋常小6年


 もう御大典もすんだ 畠をすく馬の息が ぽつぽつすすんでいく
    向うの畠の青菜 朝陽ににほひさうだ (昭和4年3月号)尋常小6年

日の暮
 汽車の音も とうとうきえてしまつた 野菜のすぢが 白く光つてゐる
    見上げた空 半かけ月が こほつてゐた (昭和6年4月号)高女3年



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