チリ鉱山落盤事故の作業員たちが次々と救出されるライブ映像を見て、感動に涙しながら、どうしても一方ではある思いを禁じ得なかった。それはこれまでの鉱山事故で犠牲になった人たちのことである。このサンホセ鉱山でも今までに多くの命が失われているそうだが、僕にとって忘れることができないのはやっぱり、三井三池炭鉱三川坑で発生した炭塵爆発事故である。あれは僕が高校3年の年だった。死者458名を出したこの事故は日本の炭鉱史上最悪の事故となった。昨日の、最新の技術を駆使した救出劇を見ながら、もし時代が違っていたら、三川坑の事故も、もう少しは犠牲者が少なくて済んだのだろうかと思った。三川坑の場合は一酸化炭素中毒がほとんどだったから今回とは状況は違うものの、あの頃、救出が遅れたことが犠牲者を増やしたと言われていた記憶がある。チリ鉱山の救出成功は素直に喜びたいが、合わせてこれまでの鉱山事故の犠牲者にあらためて弔意を捧げることも重要なことだと思う。
※写真は三井三池炭鉱万田坑
※写真は三井三池炭鉱万田坑