徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

今日は「鏡開き」

2023-01-11 20:17:03 | 日本文化
 今日1月11日は「鏡開き」。昨日放送されたNHK熊本放送局のローカルニュース情報番組「クマロク!」では「みんなでことば塾」というコーナーで、可愛らしい女学生姿の佐藤茉那アナが「鏡開き」について解説していた。その要点は
  • 「鏡開き」とは、正月に飾っていた「鏡餅」を下げること。
  • 「鏡餅」は神様に供えるもの。「鏡開き」することで運気や力を体に取り入れ無病息災を願う。
  • なぜ「鏡」餅なのかというと、昔の金属製の鏡と丸く平たい形が似ているから。
  • なぜ鏡「開き」なのかというと、「切る」とか「割る」は忌み言葉だから「開き」という。
  • まとめると「鏡開き」とは「正月に神様が宿っていた鏡餅を食べ一年の無病息災を願う行事」


 わが家では昔から「鏡開き」のことを「猪の爪鹿の爪(いのつめかのつめ)」と呼ぶ。なぜそう呼ぶかというと、「鏡開き」の「ぜんざい」に付け合せる「たくあん」を、猪や鹿の爪に見立てた形状に切っているからだ。もともと「鏡開き」は武家社会の慣習となっていた「具足開き」が一般化したもの。具足というのは武士がいくさの時に身に着ける「甲冑(かっちゅう)」のこと。正月には床の間に飾った甲冑に神饌である餅や酒、魚、野菜などを供えたという。1月11日の「具足開き」にそれらの供え物を食べた慣習が「鏡開き」になったわけだが、わが家に伝わる「猪の爪鹿の爪」の由来がよくわからない。おそらく、ずっと昔は猪や鹿の肉を供えていたのが形だけ残り、「たくあん」を猪や鹿の爪に見立てて供えるようになったのではないかと思う。近隣には同じ風習が残る家は見当たらないが、静岡県伊豆の国市に千年の歴史を有する江川家という名家があり、そのフェイスブックによると「鏡開き」に馬蹄に見立てた「たくあん」を供するという記事が写真とともに掲載されていた。同じような風習が残る地方あるいは家もあると思われる。
※右の甲冑は「細川家の至宝展」に展示された「黒糸威二枚胴具足(くろいとおどしにまいどうぐそく)」細川忠興(三斎)が関ヶ原の戦で用いたもの(東京・永青文庫所蔵)