徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

御旅所で能を観ながら…

2018-09-17 21:27:24 | 日本文化
 「Aso4」と呼ばれる約9万年前に起きた阿蘇カルデラ噴火の火砕流堆積によって出来た京町台地の南西端が藤崎八旛宮の段山御旅所。能舞台に迫る切り立った崖はその火砕流堆積の痕跡である。2年半前の熊本地震で崖の一部が崩れたため、昨年、コンクリートの防護壁が造られた。これによって崖崩れのおそれは無くなったが、風情は損なわれた。また、晴れるとこの白いコンクリートがハレーションを起こし、橋掛かり側からの撮影には支障をきたすようになった。安全性優先だからやむをえないが、何だかなぁ…
 能は千番見るまで語る資格なしといわれる。僕なんかまだ百番にも満たないし、いまだ語るほどの知識も持ち合わせていない。だからいつも素人感覚の感想しか言えないが、逆に今だからこそ感じとれるものもあるのではないかとも思う。昨年の藤崎宮例大祭は台風で日程が3週間延期になり、出演予定だった能楽師の多くが日程確保できず、番組が大幅に変更になった。内容的には不満足な思いが残ったが、今年は若手実力派が揃い、とても見ごたえのある番組となった。「高砂」の塩津圭介や「半蔀」の友枝雄人など、これからの能楽界をリードして行くであろう能楽師たちの若手らしい溌剌とした舞台を観ることができたのは何よりも嬉しかった。御旅所の一角に御神幸の神輿が一時安置してあるのでお賽銭をあげて参拝したが、これだけ充実した能舞台を無料で観られるなんてこんな幸せなことはない。


熊本地震前の段山御旅所北側の崖


金春流 半能「竹生島」後シテ:田中秀美 後ツレ:古閑祥高 ワキ:飯冨雅介 ワキツレ:岡充