徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

復興を祈る天女の舞

2018-03-29 16:46:04 | 音楽芸能
 今週末、水前寺成趣園能楽殿で行われる「熊本地震義捐能」のみものは能「羽衣」。「羽衣」は能の定番中の定番の演目。それだけ人気も高いのだろう。僕もこれまで観た演目の中で「羽衣」が一番多いかもしれない。
 能「羽衣」のもとになった「羽衣伝説」は日本全国に散在するが、中でも最も有名な三保の松原を舞台にした「羽衣伝説」をもとにこの能が作られている。
 今回の「熊本地震義捐能」で能「羽衣」のシテ(天女)を務めるのは、観世流の女性能楽師・菊本澄代さん。熊本ではふだん観世流の演能はあまり見られないので今回は見逃せない。

 熊本の「羽衣伝説」は阿蘇の田鶴原神社に伝わる話が「肥後國志」などにも書かれている。

▼阿蘇の羽衣伝説
 昔、田鶴原にはきれいな泉がわいていた。ある時、天女が三人舞い降り、ここで水浴びをしていた。これを見ていた新彦命(にいひこのみこと)が羽衣を隠し、一人の天女が天へ昇れなくなった。天女に一目ぼれした新彦命は懇願して二人は夫婦となった。天女は天姫(新彦神子)と天王(若彦神)の二人の子を産んだ。夫婦は仲睦まじく暮らしていたが、ある日、天女は子守女が歌う子守歌から、新彦命が隠した羽衣のありかを知る。そして天女は新彦命と二人の子を残し天へ舞い戻って行った。阿蘇神社の七の宮に新彦神、八の宮に新彦神子(にいひめのかみ) 、九の宮に若彦神(わかひこのかみ)が祀られている。


2016年11月の熊本城薪能における能「羽衣」。(シテは喜多流能楽師・狩野了一さん)