徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

エルビス・プレスリー と 能

2017-08-18 13:33:28 | 音楽芸能
 一昨日はエルビス・プレスリーの没後40年だった。時の流れの早さに感慨を新たにした。
 僕が初めて彼の歌「ハート・ブレイク・ホテル」に触れたのは、たしか小学3年か4年の頃だから60年以上も前のことだ。終戦間もない頃育った僕らにとってアメリカ音楽の影響は極めて大きい。けれども彼の歌は、それまで聞いていたどのアメリカ音楽とも違った。正直、中学生の頃まで僕は彼の音楽に馴染めなかった。彼に対する見方が変わったのは、彼が2年間の兵役を終えて西ドイツから帰って来てからである。以前の尖った印象が消え、好青年に変身していた。「G.I.ブルース」「燃える平原児」「ブルー・ハワイ」「ラスベガス万才」等々、次々と映画に出演し、音楽もよりポップス調のものに変わって行った。当時の彼の映画はほとんど見に行ったものだ。その後、彼は再び音楽活動に戻って行くのだが、僕もやがて社会に出て忙しかったこともあって、42歳の若さで突然亡くなるまでの情報はほとんど知らない。
 没後しばらくしてから、彼のファンにとって聖地となっているテネシー州メンフィスの、かつての邸宅グレイスランドにエルビスの幽霊が出るとかいう噂が立ったことがあった。これに着想を得たのか、グレイスランドを訪れた旅人の前にエルビスの霊が現れるという物語が、なんと外国人の手によって能になったと聞いて驚いた。日本文化とは対極にあると思っていたエルビスが能になることなど考えたこともないし、いまだに腑に落ちるところまでは行っていない。シテ方喜多流能楽師の大島衣恵さんは「エルビスの能など日本人の発想にはないが、言語が違っても“能”として成立していれば・・・」とグローバルな能の可能性について期待感を語っている。

▼アンチェインド・メロディ
 死の6週間前に出演した最後のテレビ番組で、ピアノを弾きながら歌う「アンチェインド・メロディ」は、能の謡の中にも引用されている。




▼ブルー・ムーン・オーバー・メンフィス 能 エルビス・プレスリー