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徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

世界文化遺産登録を待つ崎津集落 

2016-09-04 22:02:04 | 歴史
 世界文化遺産登録へ再申請をすることになった「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」のタイトルが「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」に変更されたというニュースが先日流れた。熊本県民としては「天草」がハッキリと表現されたことは大変喜ばしい。

(注)「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」には、構成資産の一つとして「天草の﨑津集落(天草市)」が含まれる。



 崎津と聞くとどうしても山崎朋子のノンフィクション「サンダカン八番娼館」を思い出す。明治時代に天草からボルネオのサンダカンに、いわゆる「からゆきさん」として渡った女性から聴き取った女性哀史である。その女性と著者との出会いを予感させる、崎津天主堂での冒頭の場面が次のように書かれている。



 崎津集落には、特別な指定文化財などがあるわけではなく、評価されているのは「文化的景観」であり、その根底となるのは厳しい弾圧を受けた禁教期にも、けっして捨てることのなかった信仰が、今日もなお連綿と受け継がれている、その習俗そのものが「世界文化遺産」にふさわしいといえるのだろう。


▼「サンダカン八番娼館」よりも前、昭和38年にNHK熊本放送制作により全国放送されたラジオドラマ「ぬれわらじ」は「からゆきさん」の悲話をもとにしたもので、山鹿市出身の民俗学研究家であり、放送作家でもあった木村祐章の作。このドラマをモチーフに、邦楽演奏家の今藤珠美が作曲したのがこの「愛の南十字星」。