
BSベスト・オブ・ベストで昨年BSHiで放送したドキュメンタリー「グレース・ケリーの素顔を探して」という番組をやっていた。ハリウッドのトップ女優からモナコ公妃に転身したグレース・ケリーの半生を、残された写真や関係者の証言をもとにたどっていた。僕は彼女の出演作品はほとんど見ているが、最も強い印象が残っている二つのシーンがある。一つは小学校3年の時だったと思うが、「トコリの橋(1954)」の一場面と、もう一つはその何年後かに見た、何かの映画の前に上映されたニュース映画でのレニエ大公との結婚式のシーンだ。「トコリの橋」は朝鮮戦争を背景とした話で、日本でもロケが行なわれたことは映画雑誌で知っていたし、戦闘シーンでは観ている大人たちが現実感を伴って観ていた姿をよく憶えている。終戦から間もなかったし、映画でも横須賀から出撃していたので無理もなかったと思う。その中でも海軍パイロットの夫(ウィリアム・ホールデン)の出撃を見送る妻(グレース・ケリー)の姿が印象的だった。結局、それが永遠の別れとなってしまうのだが。
番組の最後の方で、グレース・ケリーのお墓が映し出されたが、墓碑銘には「Gratia Patricia」と書かれていた。そういえば細川ガラシャ夫人のスペルも「Gratia」だったことを思い出した。