昨年放送され、今年3月にも再放送されたNHK広島局制作のドラマ「火の魚」が、モンテカルロ・テレビ祭のドラマ部門で最優秀賞を獲得したそうだ。昨年の放送以来、数々の賞を受賞しているが、日本国内はおろか海外でも支持を受けたこのドラマの成功の要因はどこにあったのだろうか。スタッフ・キャストに有能な人材が揃ったことはもちろんだが、わけても渡辺あやの脚本の良さは特筆すべきだろう。原作者の室生犀星も、あの短編小説がこんなに素晴らしいドラマになるとは思いもよらなかったのではないか。キャラクター設定やセリフの巧妙さ、53分という限られた時間内に極めてうまくまとめられたプロットは、長過ぎず、短か過ぎず、絶妙だ。僕はこのシナリオの原文がどうしても読みたくて取り寄せることにした。また、このドラマの成功のもう一つのポイントは、地方発信にあるのではないかと思う。NHK広島局を含め、これまでも地方局制作の秀作ドラマがいくつもあったが、地方からの目線は、これからのドラマづくりの一つのキーワードかもしれない。
※再放送予定
NHK-BS2 6月27日(日)13:00~17:00の枠内(詳細未定)
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NHK-BS2 6月27日(日)13:00~17:00の枠内(詳細未定)

