のすたる爺や

文明の果てなる地からのメッセージ

桑の実

2024年06月27日 | 日記・エッセイ・コラム

 耕作放棄された桑畑に、桑の実がなっていました。近年、マルベリーなど呼ばれてジャムなどが出回っておりますが、我々の呼び方は「ドドメ」。

 養蚕地帯だったので小学生の頃は学校に隣接して桑畑があり、休み時間にちょいと行って畑で食っていましたが、学校の廊下に「ドドメ禁止!」の張り紙が張られました。季節的には梅雨のじめじめした時期でしたね。

 養蚕農家にすれば大切なのは葉っぱなので、栄養を取られる実は必要ないし、除去も手間。そこで実をつけない品種が作られました。ドドメがなっている桑の木は昭和の時代の桑畑。

 ♪山の畑の桑の実を 小籠に積んだはまぼろしか♪ 同様赤とんぼの二番の歌詞ですが、農村の子供にすれば不思議な歌でした。赤とんぼはアキアカネと言うトンボが秋になると色が赤くなって、山からだんだん里にかけて色が変わっていくもので、このあたりなら8月の終わりから9月にかけて出てくる虫です。桑の実は6~7月初旬。なんか情景が違うなぁ?と感じていました。

 作詞は三木露風で兵庫県の龍野町だったかな?連れて行ってもらったことがあるんです。赤とんぼの歌は知っていましたが、まだ学校に上がる前でしたし、桑畑なんかあったかな?なんて思い返していますが、そうやってみると幼少の思い出に時系列なんて無粋だな。なんて思えてしまいます。

 郷愁かぁ。私にはリアルな日々ですが、出て行った人も目線からの郷愁の中に埋もれて生きているのかもしれない。きっと誰かがそう感じてくれているのかな?

 赤とんぼは大正10年ごろの歌ですから、鬼無辻無惨が鬼殺隊に討伐されて平和になった時代です。令和の現在、赤とんぼも桑の実も身近にある生活していますが、♪十五で姐やは嫁に行き♪、嫁に行くような娘はいない高齢化地帯です。ここだけが歌の世界と違う。五十過ぎた行かず後家はいるけど、君子危うきに近寄らず。

 黒紫色に熟したドドメを5つ6つ口に放り込んだら、甘かった。

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