のら猫の三文小説

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次平の敗北 No.11

2012-12-14 08:28:59 | 次平の敗北

お純が働く事になる背景



別に新婚旅行などないので、婚礼して洋介とお純は新しい屋敷に入った。おゆきはよく遊びに行った。お純は始め緊張していたが、普段通りでいいといわれ、すぐにお純風になった。

おゆきは思っていた。
この娘は本音で話す。怒ったり、悲しんだり、言い合ったりするが、すべて本音をいう。好きものは好き、嫌いものは嫌い。色々な本も読んで頭は良い。ただ言葉を繕うという事がない。言葉の使い方がしらないのは欠点だが、隠すという事がない。

おゆきが好きな菓子を土産にもっていくと本音で喜び、二人で本音を話し合いながら、お菓子を食べる。食べる時には実に美味しそうな顔になる。洋介の気持ちは分かる。この娘は純粋なのだ。おゆきはこの娘が気に言っていた。



おゆき「お純さんには言葉を繕う事は苦手で、すべて本音で喋る。隠すという事がない。あの家へ行くと、言葉に注意しているのが馬鹿馬鹿しくなります。

洋介も自分の家では、良く喋ってます。実に気持ちがいい。私も本音で言います。注意すると何処が悪かったですかと真剣に聞いてくる。色々な知識もあり、本も読んでる、頭も良い。だがなぜか言葉を繕うという事が苦手なようです。洋介も精神的に余裕が出てきたようです。私はあの娘は気に入ってます。」

次平「それがあの娘なのだ。本質的にはあの娘は賢いが、繕うのが嫌いなだけだ。いい娘だ。洋介には過ぎた娘だ。私も好きです。鉄平さんやお恵さんが考えすぎているだけです。

鉄平さん、お香さん、一平君やお恵さんは、あの娘を可愛がっているが、4人とも、自然に言葉を繕えるが、あの娘にそれがない。それが可愛いけど心配なのだが、言葉を飾ったり、繕ったりする事はそんなに必要な事ではない。最低限の使い方が時と場所によっては必要と判ればいいだけだ。」



洋介も、お純が可愛いかった。お純は、お香やお恵譲りで、綺麗な容貌と姿も良かった。

鉄平もお香も、お純、お純と可愛がっていた。お恵が多くの仕事をするようになると、鉄平とお香も少し、暇も出てきたので、忙しくなったお恵の替わりに、お純とその弟の幸之助の面倒をよく見ていた。幸之助も器量は良かったし、可愛い男の子であるが、人見知りするようである。

何しろお香の血がそうさせるのか、女の子の方が奔放で天衣無縫で早熟して育つ。しかも栄養も良くなって、細身のお香やお香よりは、肉付きも良くなっている。お人形のような女の子で、人見知りしない性格でもあり、鉄平やお香を訪問する、政府の高官や大きな会社の経営者たちにも、幼児語であるが、話して、みんなに可愛いがられて、大きくなった。

そして 人の話も良く聞いていたし、家にある本も良く読んでいた。言葉を飾ったり、繕った事を本質的に知らない女の子に成っていったのである。そしてお恵は家でも、一平と盛んにやるとか昨日は舐めても、大きくなるのが遅かったけど、何かあったのと盛んにいっていた。そんな雰囲気の中で、幼児語から完全に抜け切っていないまま、成長していた。



洋介は、お純の表面を見ていて、お純の賢さはまだよく分かっていなかった。次平は感じていたがこの娘の賢さをまだ実感していなかった。

洋介がお純をつれて、次平とおゆきを訪問して、会食していると、次平や洋介は盛んに、今の政府が諸外国に譲歩しすぎると言っていた。お純も少しづつではあるが、言葉使いも覚えてきていた。私も意見いっていいですかといって、なぜ譲歩しているかについて、少しでも西洋に追いつくために考えている事です。この国に力がついてくれば、自然と治っていきますよと喋り始めた。海外の事情や英語もよく知っていた。次平とおゆきそして洋介が、こんな天衣無縫のまだ可愛い娘がと思ってじっと見ていた。英語も詳しく、バイブルやキリスト教の宗旨とか、西洋の中世時代の事まで知っていた。何回会食してから、次平はおゆきに言っていた。



次平「お純は大した娘だ。私は鉄平さんに今まで支えてもらい、多くのものを貰ってきた。しかしお純ほど大切な娘を貰った事はない。お純は洋介が足下にも及ばない程賢く、しかも勉強している。それに今でも良く本を読んでる。英語も良く知ってる。ひょっとすると功一以上だ。鉄平さんもお恵さんも今頃 洋介なんかに嫁に出して、しまったと思ってるのじゃないのかな。」

おゆき「言い方やお純さんの容貌をみてると可愛いとしか言えないですが、私にはわからない事でも良く知ってますね。」

次平鉄平さんを凄いと思っていたら、お香さんはもっと凄い人になった。その内に、お恵さんは、そのお香さんを超えそうな人になってきた お純はものすごい可能性を持っている娘だ。 医学を勉強させるか。いやそんな事したら、洋介は秘書になってしまうだろう。もうすぐ お恵さんが仕事手伝ってくれと言ってくるだろう。おゆき、それとなく、洋介に言っておきなさい。お純さんの才能を伸ばす事に、邪魔をしないようにと。洋介の家の中に閉じこめておくと世の中のためにならない。」

おゆきはこんなに次平が人を誉めるのは珍しいと思っていた。



次平は、鉄平の屋敷に遊びに行った時にも、お純の事を誉めて、医学を勉強させようとも思ってたが、それでは洋介が秘書になってしまう。それでは洋介は武士気性をもっているだけに、親として可哀想だから止めた。お恵さんの仕事を手伝うようにしてやって欲しい。優秀な人は、貴重だ。世の中のために働らかなければならないと言った。

鉄平「お純は可愛いから、甘やかしてしまった。大丈夫かと心配していた。なんとかやってますか?」

次平「言葉使いも覚えてきた。それにあの才能を家の中に閉じこめない方がいい。」

鉄平「そんな誉めすぎですよ。でもお恵にも言っておきます。才能があるかどうかは分かりませんが、まだ仕付けてない娘なので、責任持って、面倒を見ろと」



お香もお純が何かしでかしたのか、心配して聞いていた。

お香「お純は幸せです。洋介さんや次平さんに可愛がって貰えて、私もする事が無くなったと思ってましたが、お恵と手伝って、お純の面倒みます。」

次平お純は容貌や姿もいい、そして可愛い。まだ言い方が幼い。それであの娘の可能性が分かり難いのだが、ものすごい可能性を持っている娘いや人です。大きく育ててれば、世の中をよくする事が出来ると私は思ってます。 鉄平さんから色々なものを頂いて来たが、お純ほど大きく、貴重なものは、ないと思ってます。」

他にも色々と話をして、次平は帰っていった。



お香は、商会に行った時に、お純の事を相談したいから、暇が出来たら、郊外の屋敷に来てと言った。お恵は吃驚した。きっとあの娘は何かしでかしたのに、違いない。その日夕方に一平と一緒に、鉄平の屋敷に行った。 

お恵「お純は、何をしたのです。もうあの娘は心配ばかりさせて」一平も心配そうに聞いていた。

鉄平「いや 次平が来て、お純を誉めていた。俺はあいつ可愛いだけで、よくわからん。凄い可能性をもってる娘だ。お恵の仕事手伝わせてはどうかと言っていた。俺は、お恵に責任持って面倒見させると言った。」

お香「私も手伝うわ。次平先生は医学の勉強させたら洋介さんをすぐ追い越してしまう。それでは洋介さんが可哀想だ。しかし 家の中に閉じこめる娘ではないと言ってくれた。お恵、お前、お純に似合いそうな仕事を探して、一平さんと一緒に洋介さんに頼みにってくれないか?」 



お恵と一平は、お互い顔を見合わせ笑った

お恵「お純に何が出来るの。男の子と遊ぶ以外に」

鉄平「俺も若い時のお前を、そう思っていた。お前も遊んでいたよ」

お恵は一平を見ながら「私 あんなに遊んでないわ。」

鉄平「お前が毎日のようにやりたい やりたいと一平さんに迫るので、一平さんに悪いと思って仕事手伝わせたのだ。」

お恵「まあ 一平さん そうなの。」

一平「お義父さん 昔の話を」

鉄平「いずれにしても、お純には、まだ躾なんかしてないだろう。次平が言うような可能性があるかないかは分からないが、仕事させながら躾ないといけない。それはお恵 お前の責任だよ。」

お香「私も手伝うわ。お恵。私もお純 可愛いのでよく分からないけど、お前よりも、お純は正直な子だ。それに好きな人を失うかもしれないと、もがいた事もある娘だ。」

お恵「正直? あの娘は馬鹿なのか思う事あるの。 結婚前に道具揃えに言った時、途中でご飯食べに食堂に入ったの。格好いい青年が道を歩いていたら、大きな声であの人美味しいかもしれない。大きそうよ と言うのよ。私 顔から火が出そうだったわ。結婚後、家に遊びにきたら、女中さんもいる場で、洋介さんのもの大きいとかこの間三回もしてもらった。お母さんは最高何回して貰ったのと大きな声で言うの。男の人見れば美味しいそうとかこれはまずそうとか言う娘よ。やる事しか頭にないのかしら。」

鉄平俺も若い時のお前 そう思っていた。 お前は人前では言わなかった。それはお前が時と場所によって言葉を繕う事ができる娘だからだ。だが頭の中ではお純とよく似た事考えていたろ。お香とよくそんな話していただろう。それにお恵、お純は小さい時、ここで色々な人に可愛がれていた。そして話を良く聞いていた。幼児語で質問までしてた。次平の言う可能性もある。お前は躾しながら、お純の可能性を引き出すのだ。 お前の責任でもある。お前は、お純の母親なのだ。」

お恵「あの娘の舌引き抜いてやろうと何回思った事か。可能性なんてないと思うけど、母親の責任と言われたら、一言もないわ。何か考えて洋介さんに頼みにいくわ。」



鉄一がお香やお恵に相談していた。織物と裁縫などをしている会社を見る人が欲しい。私は鉄関係を中心だし、功一さんは機械や工作機械を一生懸命にやっているので手一杯だ。 今の人だけでもなんとかやっているが、もう少し伸びそうな気もするのに、惜しい気もする。



お恵とお香は相談して、鉄一を呼んだ。お恵は、鉄一に私が織物と裁縫などをしている会社を直接面倒みる。商会に譲って欲しいと言った。


鉄一「姉さんに見て貰えれば安心だ。しかしそんな時間があるの?」

お恵「お純に任せるの。最終的に私が面倒を見るし、責任は私が取る。お母さんは商会と事業会社全組織の責任者けど、出来るだけその会社に行って見守るといってくれている。」

鉄一「お純?あいつなんかに出来るの。」

お恵「私、お純の母親なので、お純を育てるのに責任取れと言われているの。洋介さんにも悪いし。鉄一、お前も息子の鉄造の事も考えなければ、もうすぐ17だろう。」




洋介は、お純が可愛いし、好きだ。しかもあの時も楽しい。しかし一寸度が過ぎる。この間 何回出来るか試して見ようよと言って3回もした。翌日はぐったりして大変だった。家に帰ると昨日はよかった。今日もしてくれるねと言って、卵とか鰻料理が並んでいた。今日は疲れているというと、じゃ1回で我慢すると言って、その1回が延々と続いた。お純の技も大したものだが、このままでは身がもたないと考えていた。父上に相談する訳にも行かない。この間 母上が話していた。お純をお義母さんの手伝い等に出したらとか、お純の可能性を育てるとかなんとか。可能性は分からないがお純が仕事をすれば確かに、もう少しなんとかなるかもしれない。今日にもお義母さんの所へ言ってみよう。




お純、仕事を始める!



結局 お純もお恵の手伝いをする事になった。しかもお恵は言った。織物と裁縫などをしている会社の将来を考えて、勉強しなさい。会社の人にも紹介された。お恵からお純は、「お純 お前 ここの会社の実質的な責任者だよ。しかもここの会社の工場には、若い娘も多いし、人も多い。みんなお前を見ている。しっかりしなさい。」と言われてしまった。洋介さんとやる回数減ると言って愚図っていたのに、洋介さんも「お義母さんも忙しいから助けなさい。」と言っていた。

しかし会社の人が私の事見るのは、冷たい視線だった。私の評判は悪いのだ。やってばかりの女。男連れ込む女と言われている。それはそうだったけど、このまま馬鹿にされているのも悔しい。会社の遠藤という年輩の人は、今お母さんは大変な人になったけど、昔は「あの顔で男食うかよ お恵さん」と言われていた事もあった。お純さんもやれば出来ると励ましてくれた。一瞬私の事と思ったが可笑しかった。私も少しは見直して貰おう。



しかし、お純は何も分からない状況なので、必死に頑張っていた。妊娠し、出産もした。その中で夢中になって取り組んでいた。お純は、早熟の天才であった。それだけに超えるべき壁は高い方がよかった。慢心する暇も時間もなかった。数年すると、事業は拡大し、取り組むべき課題が増えていった。

そして、外部から鉄平とお香が育て、お恵が大きくした会社群が、鉄平の名前を冠した阿部一族の会社とは呼ばれず、治部一族の会社と呼ばれ、それぞれのファミリー会社が飛躍的に大きな会社群になっていくのは、このお純の指導により会社が飛躍的に伸びた事が大きな理由だったのだが、この時は誰も予想すら出来なかった。




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