のら猫の三文小説

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次平の敗北 No.12

2012-12-14 18:30:59 | 次平の敗北

珠代が入院した!



珠代は、功一がどんどん好きになっていった。お恵と違って仕事はしなかった。珠代は思っていた。「功一さんと離れる時間が恐い。功一さんが仕事している時間に英語を勉強して、功一さんの仕事に必要な本を読んだりしている程度しか出来ない。それも必死でしたもこの程度だ。難しかった。珠代は必死で頑張っていた。



二人の子どもが出来た後、二人の子どもの世話をしながら、無理をしすぎた。珠代の身体は弱っていた。そんな身体でも、珠代は絶頂感を何度も味わいながら、意識を失っていった。身体は弱り、神経が高ぶっていた。おゆきが子どもを見に来て、弱っている珠代を見て、「功一さんの世話も残っているし・・・・」という珠代を無理矢理、次平の病院に連れて行った。次平は、診察して、吃驚した。

こんなになっていても、功一は気づかないのかと、功一に今までない、激しい口調で叱った。おゆきは、そんなお前に子どもは預けられませんといって、子どもはおゆきが面倒を見る事になった。



珠代の入院は、長くなった。座っているだけで、自分の思い通りに進んでいた世界から、突然一人の世界になってしまった。女中のする事は、珠代のようには行かなかった。着物なども薄汚れてた物も着るようになり、料理も味気ないものに感じられ、珠代の存在の大きさを実感するようになった。

振り向くと珠代がいたが、振り向いても誰もいなくなっていた。珠代が退院すると、子どもたちも帰ってきて、以前に戻ったものの、功一は珠代の体調や珠代の事を気遣うように変わっていった。これは功一の仕事にも、好影響を与えていった。他の人の説明や考え方を気遣えるようになっていた。 珠代は少しずつ変わっていった。



珠代は、神経や体調が戻っても、功一が好きという思いは変わらなかったが、以前のような感じ方は出来なかった。神経を切るような痛みと共に起きる快感てはなくなっていた。功一を求める身体や体調は復活していたが、珠代の心には、功一だけでなく、珠代、功一郎、功二郎そして自分の両親、次平夫婦そして他の人もいるようになった。

ゆっくりした充実感を持つ快感に変わっていた。そして自分の身体を気遣う功一の目線も、珠代を守ってくれていた。功一を見守っている人、助けてくれる人への配慮、なにより、功一への配慮、功一が成長していくために私がどうすればいいのかとの思いが生まれてきていた。健康の回復とともに、心も回復し、成長していった。功一の言いなりではなく、強い口調ではないが、功一にも注意できるようになっていった。妖艶な人ではなく、美しい人に変わっていった。


功一の変化



功一は、珠代がそれ程好きな人でもなかった。珠代が病気になり、如何に珠代が、自分にとって、大きな存在であるか痛感した。珠代との生活が、とても大切に感じてきた。

功一も珠代が好きになってきた。珠代は、目でせがむようになっていた。今夜とてもしたいと。子どもたちも大きくなると、そんな二人を見て、直ぐに自分の部屋に引っ込むようになった。

二人だけで、よく一緒にお風呂にも入った。珠代は子どもも大きくなっていたのに、身体を洗ってやると感じていた。珠代と功一は二人でお互いに洗ったりしていた。珠代も功一も、あまり太らなかったので、もっと食べないとお互いに言ったりしていた。

寝室の中だけでなく、いつも一緒だった。子どもたちもそれが当然と思うようになっていった。功一と一緒に次平の家に遊びに行くときも、珠代の親である片山の家に行くときも。次平も呆れていた。おゆきは「仲がいいのは、いいけど、すこしは加減してね」と言う事もあった。功一郎が大きくなって、おゆきに告げ口をした。「お父さんは、お母さんに食べさしてもらっているんだよ。あーんしてと言って、口に入れてもらったりしている。お母さんもそうしてもらっているよ。二人でお風呂にも一緒に入る事あるよ。」




おゆき「功一、子どもの前でみっともない事をしてるのかい?」

功一「みっともない事?、珠代と接吻する事?」

おゆき「そんな事もしているの? 食べさしてもらってるとか?」

功一「私が嫌いな人参とかピーマン残すから、珠代が食べないと言って、食べさすんだ。」

おゆき「こどもみたいな子だね。自分でちゃんと食べないと。お前も珠代さんに食べさしていると言うし。」

功一「珠代は食が細いので、もっと食べないといけないと言って、食べさしているんだよ。」

おゆき「・・・・、 お風呂も一緒に入っているの。」

功一「珠代の身体を見ておかないと、珠代の食が細いから、心配なんだよ。」



おゆき「貴方、功一も珠代教になってます。なんでも珠代、珠代と言います。」

次平「それなら、仕方ない。功一に注意したい時は珠代さんに、珠代さんに注意したい時は功一に言えばいいんだよ。」

おゆき「処置なしですね、あの二人は。夫婦仲良くても少しは限度があるのに。」

次平「鉄平さんは、あの機械会社の名義を私とお前と功一に移してもらっているよ。東京と大阪以外の医院も、製薬会社に世話してもらっているのに。交換だと言ってね。功一は自分が不得意な経理などは、お恵さんから人を派遣してもらっているらしい。自分を知るようになったのはいい事だよ。私もそうだったし。親子2代同じような事になった。」

おゆき「まあそれはそうですか、功一は、珠代さんといつも一緒にいてますよ。」

次平「珠代さんが、英語を勉強して、功一の機械などの専門書も読んで、功一のために整理しているらしい。」

おゆき「私もそうすれば、よかった。もっと貴方の側に居れた。」

次平「・・・・・」



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