敷地内の猫のナベ君には ある疑惑があった
本人も特に否定した事もなかった
それは ソフト指し をしているのではないかと云うものだった
元々 ナベと云う猫は、コネコ研究所で人工知能の研究をしている猫だった
チェス での 指し手 全てを過去の棋譜と照合して、一番いい手を捜す 方法 にはナベは疑問を感じていた、それは知能とは言えない、なんらかの評価関数を作って、それに従って 考えるべきである
ナベの考えていた ソフト はまだ未完成だったが、図形認識をさせて、過去の棋譜を参考にして、ナベ独特の枝分かれ理論で、最善の手を捜す のが ナベの ソフトと言えた
コネコ研究所は ジブトラストの取引システムの管理の中に組み込まれ、金のあった研究所だったし、
この研究所のボス猫たちも 人工知能については興味もあって、ゼニの高い
スーパーコンピューターまで入れて、ナベの仕事を応援していた
ブーハ君も ある程度は知っていたが、ナベに勝てないと、人間はソフトに勝てない事になると 思い ナベ と対局していた。ナベの指し手 は興味あるものが多くて、あれは全て ソフトの考えているものではないような気もしていた。
ナベもソフトに検討させてはいるが、最終的に 指し手を決断するのは僕だよ と言っていた。