ボクの奥さん

ボクの奥さんは、甲斐よしひろさんの大ファン。そんな彼女との生活をお話したいと思います。

父の背中その2

2014-05-06 10:31:19 | 日記
甲斐さんのお父様が、ご友人の保証人になられたことで
博多のお店や不動産が人手に渡ってしまい
ご家族は引っ越しなさった訳ですが

お友達に『さよなら』も言えずに
乗せられたトラックの荷台から見た街の灯りが
甲斐さんの表現の原風景になっているそうだ

新天地でお店を再開され、徐々に軌道に乗り始めた頃
突然、お父様が家を出られてしまったという

その場に居合わせたのは甲斐さんだけで
ご両親の言い争う様子から
子供心に『大変なことが起きている』とは判ってもなす術もなく…

泣きじゃくりながら後を追いかけて
裏口の木戸が閉まらずに苛々しているお父様の姿を見た甲斐さん

ガタガタと木戸をゆする音が耳について離れなかったという

甲斐さんの描かれる絵の人物が黒く縁取られるようになったのは
この日以降だったようだ

それから10年近く経って
甲斐さんが一人で店番をされていた時に
お父様がフラッと戻って来られたそうだ

『ヨウッ』と片手を挙げて入って来た年配の男性…
その顔を見てお父様だと判るご自分に驚かれたんだとか…

一年後、お父様のために新しいお店を開くことになったものの
お父様が営業時間中にお店を閉めて
出かけておられることを知って
殴り合いの喧嘩になったらしい

泣きたい気分だったという甲斐さんは
お兄様方に代わる代わる正座をさせられ
『みんな我慢してるのにナンでお前が先に手を出したんだ!』と
怒られたんだとか…(苦笑)

後に甲斐さんがサンストで…
親父が吹っ飛んだことがショックだった
心のどこかで、父親は強いものだと思っていたんだろう

子供はいつか父親を越えていかなきゃいけないと思ってはいても
あまりに呆気なく倒れたことに驚いたし、傷ついたと話されていたそうだ

お父様が戻って来られたのが突然ではなく
お母様と一番上のお兄様が迎えに行かれたからだと
かなり後になって知った甲斐さん

苦労をかけられたのにお父様を待ち続けておられた
お母様の一途さが儚くもあり、腹立たしくもあったという

ご自分の気性の激しさと
大胆なくせに妙に細やかなところが
お父様によく似ていると言われて『血を恨んだ』とおっしゃってます

そんなお父様のことを理解できるようになったのは
20才を過ぎてからだそうだ

『自分の信じた友達に裏切られて情けなかったんじゃないか?』とか

『もう、この街もダメだろう』というお父様の予見で引っ越した先は
あっという間に開発が進んだようで

将来性のある土地に店を造ってから
いなくなったことだけは立派だと思うと話されてました(苦笑)

お父様と一緒に暮らした実感は、わずか数年しかなく
本当に縁が薄かったなあと思われるそうだけど

小学生の頃からお友達の家を泊まり歩いてたという甲斐さん(笑)

親父は放浪性があって自由な精神を持ってる
それをじっと待っているお袋の健気さ
『それでも愛していかなくちゃいけないんだ』という愛の部分

ご自身の血の中にその両方を感じるんだとか…

両親が一生懸命働いて、背中を見せてきたことを忘れない
親父とお袋が俺にくれた愛を信じてるという

お父様が60歳を過ぎられた頃
甲斐さんがインタビューで…

親父は健在だけど
指が自由に動かせなくなったのがショックじゃないのかなあ

親父が使っていたマンドリンもかなり傷んでいて
俺が買ってあげる話もあったんだけど、そのままなんだ

…と話されていたんですが
今、その当時のお父様の年齢になられた甲斐さん

出来てたことは相変わらず出来ていたいという言葉には
お父様への気持ちもあるのかも知れませんね
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