虫干し映画MEMO

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フィアレス (1993/アメリカ)

2005年08月09日 | 映画感想は行
FEARLESS
監督: ピーター・ウィアー
出演: ジェフ・ブリッジス   マックス・クライン
    イザベラ・ロッセリーニ    ローラ・クライン
    ロージー・ペレス    カーラ・ロドリゴ
    トム・ハルス  弁護士
    ジョン・タートゥーロ  医師
    ベニチオ・デル・トロ カーラの夫

 飛行機事故に遭遇し、奇跡的に助かり、周囲の人びとを救助したマックスだが、それ以来人が変わってしまった。「生」の実感が確たるものではなくなってしまったようだ。彼の変化は家族や周囲に波紋を及ぼす。
 同じ事故で子どもを亡くし、苦しむカーラに引き合わされたマックスは、彼女に深く響きあうものを感じる。

 強烈過ぎる体験は生き方をも変えてしまうのだろうな、と思う。体験していない人間には想像して想像できるというものではないだろう。
 ピーター・ウィアー監督のほかの作品でも、自分の未知の価値観と出会ってのグラリを描くのがうまいなと思ったが、ここではグラリどころか生の死の間を覗き見て、「生きる感覚」が壊れようとしている人間。やはり生きていくのに必要な心の働きの一部が壊れてしまうのだ。ただ見ていてそのことが人間にとって「悪」であるとは言い切れない。生活するというのは微妙なバランスで平穏を保っているのだな、と軸がずれてしまった人が痛ましい。しかし、映画を見る立場での意識では、その軸のずれは彼にとっては当然であり、今までの日常しか見えない人間に感じる違和感も共有できる。そして日常を超えたところを見ようとしない生涯も、欠けたものではないかという気になる。

 ジェフ・ブリッジスという俳優は、こういう「この世のものならぬ」感じを引き寄せてリアルに見せてしまうパワーがあるようだ。「フィッシャーキング」とこの映画を見ると、そんなふうに思う。
 イザベラ・ロッセリーニ、ロージー・ペレスそれぞれに美しく、別種のしっとりした情感があります。

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2 コメント

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これは、観なければ (十瑠)
2005-08-10 10:44:54
>自分の未知の価値観と出会ってのグラリを描くのがうまい



なるほど。そういえば、「刑事ジョン・ブック」もそういう側面がありましたね。



トム・ハルスに反応して記事を読みましたが、とても惹かれる話で、観たくなりました。

バーグマンの娘もしっかり観たことないので・・・。
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こんにちは (ningyo)
2005-08-11 07:30:16
この映画は後半からぐいぐい突っ込んでいくようで

本当に引き込まれるような気がしました。

ラストの、事故現場に戻った映像は表現が陳腐なものになるけど素晴らしかった、とすなおに賛辞を送りたい。
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