虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

パフューム ある人殺しの物語(2006/ドイツ、フランス、スペイン)

2008年01月17日 | 映画感想は行
PERFUME: THE STORY OF A MURDERER
監督: トム・ティクヴァ
出演: ベン・ウィショー   ジャン=バティスト・グルヌイユ
   ダスティン・ホフマン    ジュゼッペ・バルディーニ
   アラン・リックマン    リシ
   レイチェル・ハード=ウッド    ローラ

 18世紀のパリ。魚市場の悪臭の中で一人の赤ん坊が産み落とされる。死ぬはずだった所を救われた赤ん坊は、グルヌイユと名付けられて育児所で孤独に育つ。特別な嗅覚の持ち主だった彼はある時運命の香りを持つ少女と出会い、その香りが彼の運命を動かしていく。

 面白い映画でした。
 はじめは処刑直前シーンだし、誕生シーンは「ああ、映画がにおいが出る程進歩してなくて本当によかった」と心底思う映像でありましたし、深刻な映画かと思いました。ところが、見ていくにつれて深刻は忘れてドキドキしながら見入っていました。

 ひどかったり、えぐかったりする話の連続なんだけど、首やら手やらが簡単に飛ぶ残酷描写つき童話とか、おとぎ話を聞く様な感覚を覚える。ところどころ笑わずにはいられない、というか、大真面目に壮大ほら話を聞かされるようにも感じられる。
 嗅覚のお話なので、主人公の鼻がよくアップになる。美しいと言うより、形が整ったと表現したくなる鼻に見える。主人公の整った、しかし特徴としての過剰も欠損もない風貌と、猥雑で薄汚くて過剰だらけの周囲の対比など、本当に完璧に世界が出来上がってる感じ。
 宿命の渦に引きずりこまれていくような展開のテンポの良さがめちゃくちゃ快感だった。そして彼が去る時、儀式のように彼に対する「用」を済ませた人間が死んでいく… そして最後は…
 私は過剰と欠損の寓話として見るのが一番落ち着いたのですが。

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