虫干し映画MEMO

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パンズ・ラビリンス(2006/メキシコ、スペイン、アメリカ)

2008年07月08日 | 映画感想は行
EL LABERINTO DEL FAUNO
監督: ギレルモ・デル・トロ
出演: イバナ・バケロ    オフェリア
   セルジ・ロペス    ビダル
   マリベル・ベルドゥ    メルセデス
   ダグ・ジョーンズ    パン/ペイルマン
   アリアドナ・ヒル    カルメン
   アレックス・アングロ    フェレイロ医師
   ロジェール・カサマジョール    ペドロ

 1944年のスペイン。フランコの勝利で内戦は終結したが、その後もゲリラ戦が続く山間部。仕立て屋だった父を亡くした少女オフェリアは、臨月の母カルメンと共にある山奥へとやって来た。そこは母が再婚したビダル大尉の任地。その夜、彼女は不思議な妖精に導かれ、謎めいた迷宮へと足を踏み入れパン<牧神>に、彼女が地底の魔法の国のプリンセスの生まれ変わりで、満月の夜までに3つの試練を乗り越えれば、魔法の国に帰ることが出来ると告げられる。

 デル・トロ監督の「デビルズ・バックボーン」にやられた私としては期待しまくっていた作品でしたが、これは「デビル~」以上に哀切なファンタジーでありました。
 この映画のコピーは
「だから少女は幻想の国で、
 永遠の幸せを探した。」

になってます。ちょっと「うーん…??」て感じです。
 ファンタジーがなくては生きられない子供にとってそれが現実からの逃避場所で架空のものでしかない、というのは事実ではありません。それに呑みこまれる危険性はロアルド・ダールみたいなわかりやすいのとか、いくつも書かれています。それに、この話は幻想で現実を受け入れやすくなるような甘い話でもありません。
 私には、自分の人生を生ききれなかった、無垢なままに断ち切られた子供たちの命や、心を殺しきれずに血を流して生きた、また死んでいった人々への挽歌のようにも思えます。彼らには黄金の玉座が用意されているべきだ、と思わざるを得ません。

 それにしても、残酷シーンが多く、息苦しい映画でした。この監督は相変わらず空気の湿度の表現は抜群です。この残酷で哀しい物語は青鈍色の迷宮と血の色と、美しいメロディーで記憶に焼きつくようです。


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2 コメント

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濃いですよね~ (samurai-kyousuke)
2008-07-08 14:42:27
その場は楽しいけど観終わって数日たつと印象が希薄という作品が多い昨今。この映画の印象は強烈でした。
インパクト値としてはここ一年観た映画の中でNO.1かもしれません。
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インパクト (ningyo)
2008-07-09 09:17:57
私も今年のベストに入ると思います。
悪役も背景はあってもとことん悪役で良かったです。
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