テアトル十瑠

1920年代のサイレント映画から21世紀の最新映像まで、僕の映画備忘録。

終着駅

2016-12-08 | ラブ・ロマンス
(1953/ヴィットリオ・デ・シーカ監督・共同製作/ジェニファー・ジョーンズ、モンゴメリー・クリフト、リチャード・ベイマー/89分)


 アメリカ、フィラデルフィアの主婦メアリーは姉家族の住むローマを訪れ、そこで現地の青年ジョバンニと恋に落ちる。メアリーにはキャシーという7歳の娘がいたが、ジョバンニはキャシーと三人で彼の実家のある田舎町ピサで暮らそうと言う。一旦はその気になったメアリーだが、日が変わると怖くなり、ジョバンニと別れて家族の元に帰ることにした。
 せめて別れの言葉を残そうとジョバンニのアパートのドアの前まで来るが、ノックが出来ずにそのまま踵を返して駅に向うメアリー。荷物もまとめずに、姉にさよならを言う余裕もないほど悩んだのだ。
 公衆電話で甥っ子のポールに荷造りを頼んで、パリ行きの切符の手配をし、キャシーへのお土産に駅の中の店でドレスを買う。ジョバンニへ電報を送ろうとしたが結局出せなかった。何を書いても彼を納得させることなど出来ないと思えたからだ。
 列車に乗り込んだものの大勢の客でごった返し五月蠅くて息苦しい。席を離れて通路の車窓からプラットホームを見ていると、そこには慌てた様子のジョバンニの姿があった・・・。

*

 不倫モノは嫌いというお馴染みさんにはプラトニックと言っていい「逢びき」も敬遠されましたので、こちらは最悪でしょうな。明らかに男女の切実な想いが伝わってきますし、子供も巻き込みそうな設定ですからね。
 しかしそこはそれ、狂おしい想いに寄り添って観れば別れの辛さも、家族への申し訳ない気持ちも伝わってきますし、映画の醍醐味も堪能できるってもんじゃないでしょうか。恋に盲目になるのは若者だけの特権では無いと思うんですが。





 <ハリウッドの映画プロデューサー、デヴィッド・O・セルズニックが映画「逢びき」に匹敵するメロドラマを作ろうと、イタリア「ネオレアリズモ」の巨匠ヴィットリオ・デ・シーカ監督を招いて作りあげた恋愛映画の名作>とウィキには書いてありました。
 確かに人妻の不倫と別れ、舞台として駅が出てくるところなどD・リーン監督の「逢びき」を彷彿とさせますが、「終着駅」では出逢いは描かれずに別れだけ、そして2時間足らずの物語の殆どが駅構内で展開されるというコンパクトに纏められた緊迫した映画となっていました。

 主な登場人物は三人。
 メアリー・フォーブスにはセルズニックの妻ジェニファー・ジョーンズ。当時34歳くらい。「慕情」の2年前ですね。お色気あり過ぎです。
 ジョバンニ・ドリアにはモンゴメリー・クリフト。33歳。同じ年にジンネマンの「地上(ここ)より永遠に」とヒッチコックの「私は告白する」にも出ているので、まさに旬の俳優だったんでしょう。
 劇中でジョバンニは母親がアメリカ人だと言っていました。スペイン広場でメアリーがイタリア語で話しかけたのが最初の出逢いだったらしいのですが、同じ年に作られた「ローマの休日」でもスペイン広場が印象的な場面に使われていたのを思い出しますね。
 メアリーの甥ポールにはクレジットではディック・ベイマー。後の「ウエスト・サイド物語(1961)」のトニー役、リチャード・ベイマーの少年時代であります。

 物語は二人の別れのドラマなので単調になりそうですが、巧妙なプロットで男女の想いのすれ違いを描いていて、イタリアの主要駅であるローマ・テルミニ駅の紹介を兼ねたような構内の描写、色々な職業の人々や様々な人生模様も点描されていて見応えがあります。
 全編に漂う緊張感にはBGMも大いに貢献しておりましたな。

 お勧め度は★四つ。
 万人にお勧めするには、ヒロインの性格設定に少し難があるかなと。
 優柔不断なのは惚れた弱さと割り切れても、お土産のドレスを買う時に自分の娘の身長も分からない母親ってちょっとおかしいでしょう。しかもひと月もほったらかしてるし。観る回数を重ねる度に気になりました。

 トルーマン・カポーティが脚本に参加しているのは有名な話ですが、クレジットではダイアローグ担当と明確に書かれていました。
 そして、ジェニファーさんの洋服はクリスチャン・ディオールのデザインであると、これもクレジットされていました。





・お薦め度【★★★★=友達にも薦めて】 テアトル十瑠
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フレンチタッチ 【Portrait Q -№119】

2016-12-01 | Who is・・・?
 ポートレイト問題第119弾。





 娘が最近はまった映画が、北杜夫の小説が元ネタらしい「ぼくのおじさん」というので思いついて今回はこの人。
 ベテランさんにはサービス問題ですが、さてお若い人にはどうでしょう?
 小説「ぼくのおじさん」は1972年の発行ですし、北さんのイメージからしてもこのフランス人へのオマージュっぽいですな。

 1909年生まれで亡くなったのが1982年。
 双葉先生は大好きだったみたいです。

 上の写真で分かりにくい時はコチラをクリックして下さい。お馴染みの映像です。





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♪Arthur's Theme (Best That You Can Do) / Christopher Cross

2016-11-27 | 音楽
 1981年のハリウッド映画「ミスター・アーサー」の主題歌ですな。
 邦題は「ニューヨーク・シティ・セレナーデ」。こっちの方が有名ですね。
 唄ったのは作詞作曲も手掛けたクリストファー・クロス。1951年生まれだからもう65歳なんだとか。81年頃は髪の毛も長かったけど、すぐに長くしようにも出来なくなったんじゃなかったかな。顔と声のアンバランスで印象深い人ですよね。

 映画は、ダドリー・ムーアとライザ・ミネリ共演の都会派ラブ・コメディ。
 当時に1回しか観てないからほぼ忘却の彼方だけど、ダスティン・ホフマンみたいなムーアが金持ちのボンボンで貧乏な娘と恋に落ちるという、大昔の映画を思わせる設定が珍しかった記憶があります。

 youtubeにはクリストファー・クロス本人が唄ってる映像もあるので、ご存じでない方はどうぞ。
 ジャック・ブラックか、マイケル・ムーアかって感じですよね。




 
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予告編 「胸騒ぎのシチリア」(2015)

2016-11-18 | 予告編
 1969年に公開された「太陽が知っている」のリメイクらしいです。アラン・ドロン、ロミー・シュナイダーというかつての恋人同士の共演ということでも話題になったし、タイトルも名作「太陽がいっぱい」をパクってヒットを祈願したんでしょうが、大ヒットとはいかなかったんじゃないでしょうか?

<声帯の手術を受けた世界的なロックスターのマリアンは、静養のため年下の恋人ポールを連れてシチリアのパンテッレリーア島へバカンスにやって来る。2人で静かに過ごそうとしていたマリアンだったが、元彼でカリスマ音楽プロデューサーのハリーがセクシーな娘ペンを伴い、強引に押しかけてくる。エネルギッシュに歌い踊り、ひたすら騒々しいハリーにすっかりペースを乱されるマリアン。そんなハリーの狙いはマリアンとの復縁だった。一方、どこか掴み所のないペンも、好奇心の赴くままにポールへと接近していくが…>(allcinema解説より)

 「太陽が知っている」を観てないので、元ネタの面白さも、キャストの違いもなんも言えまっしぇん。
 個人的には、とにかくダコタ・ジョンソンが出てるので気になった次第。
 ティルダさんも若いなぁ。





 ※オフィシャルサイトはこちら
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♪Calling You / Jevetta Steele

2016-11-12 | 音楽
 映画はぼちぼち観てるんですが、筆不精に陥ったか言葉が出て来ませぬ。
 最近観たのは「禁断の惑星」でしょうか。2回目に入る前に用事が出来てそのまま。大した記事にはならないはずですが、も一度観たいので記事は放置プレイです。

 ということで、今回も音楽記事を。
 懐かしいでしょ。
 1987年の「バグダッド・カフェ」。
 言語は英語だったと記憶してますが、西ドイツ映画らしいです。
 太ったドイツの小母ちゃんが、アメリカを旅行中に夫と喧嘩して一人砂漠の中の小さなカフェにたどり着き・・・、てな映画でした。
 あんまし中身は記憶が無いんだけど、この主題歌は忘れないですな。





 監督はパーシー・アドロン。1935年ドイツ、ミュンヘン生まれ。
 僕は「バグダッド・カフェ」以外の作品は観てないです。
 殆ど忘れてる中で、ジャック・パランスが出てたのは思い出したけど、クリスティーネ・カウフマンが出てたのは思い出せなかったス。やっぱり、もう一度観なくては。
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●2007年10月にブログ名を「SCREEN」から「テアトル十瑠」に変えました。
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◆【管理人について】  HNの十瑠(ジュール)は、あるサイトに登録したペンネーム「鈴木十瑠」の名前部分をとったもの。由来は少年時代に沢山の愛読書を提供してくれたフランスの作家「ジュール・ヴェルヌ」を捩ったものです。
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