虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

リトル・ミス・サンシャイン(2006/アメリカ)

2008年01月23日 | 映画感想ら行
LITTLE MISS SUNSHINE
監督: ジョナサン・デイトン
   ヴァレリー・ファリス
出演: グレッグ・キニア    リチャード・フーヴァー
   トニ・コレット    シェリル・フーヴァー
   スティーヴ・カレル    フランク
   アラン・アーキン    グランパ
   ポール・ダノ    ドウェーン・フーヴァー
   アビゲイル・ブレスリン    オリーヴ・フーヴァー

 アリゾナ州に住むフーヴァー一家は、家族それぞれに問題を抱え、崩壊寸前。パパのリチャードはまったく見こみない成功論を提唱し、自ら忌み嫌う負け組に知らず知らずなっている。グランパはヘロイン常習者で言いたい放題。ママのシェリルは疲れ気味。長男ドウェーンはそんな家族の中でニーチェを読みつつ沈黙を続ける。さらにはそこへゲイで自殺未遂のシェリルの兄フランクまで加わる。そんなとき、娘のオリーヴに美少女コンテスト出場のチャンスが訪れる。一家は旅費節約のため、オンボロのミニバスに家族全員で乗り込み、はるばる開催地のカリフォルニア目指して出発する。

 痛くておっかしい映画でした。
 それぞれ問題を抱えた家族が、旅行中にそれに向き合い、ひと波乱ののちそれぞれの再生への希望を見出す…のがロードムービーの常道な展開だと思いますが、この映画ではそれぞれ自分の傷に向き合わねばならない時に、傷口が広がるばっかりで救いなしです。
 それなのに、痛々しいばかりでなく個人の悲劇=傍から見ればファースである「まいったなあ」という笑いを浮かべることができます。
 この家族ほんとにがっちり家族の絆が存在しております。何気ない言動で傷つけあい、行く先々でみんな「負け犬」を確認させられるばかりなのに、お互いをいたわりあう行動が思わず知らずごく自然に出てしまう姿に、心のなかにあったかいものがじわじわ広がってきてしまいます。
 パパとママは激しくやりあっても、それぞれの家族の立場を維持するし。
 ゲイで恋人に振られて、仕事もなくして自棄になって自殺未遂をした伯父さんも、ちゃんと家族の傷をいたわる余裕あり。スティーヴ・カレル、「40歳の童貞男」よりもこういうキャラのほうが私は好きです。
 不良老年のおじいちゃんも、いざというときは人に合わないまっとうでストレートな言葉を発します。
 それに、およそミスコン的でないぽっこりおなかのかわいいオリーヴが本当に家族のサンシャインです。
 およそ雰囲気違うけれど、「ミスティック・リバー」(小説のほう)で繰り返される「クソみたいな人生」を連想。どうしようもない人生だけど、どうにかこうにか生きて行くんだわ。そして、ため息ついて立ち上がるためには、切れそうで切れないこの家族みたいなつながりがつっかい棒になるんでしょう。
 押しがけの車というのはむちゃくちゃ象徴的。

 それにしても、死にざまに至るまで、おじいちゃんのセンスは破壊的すぎます。


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2 コメント

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良かったです (samurai-kyousuke)
2008-02-02 12:13:21
ほんわかした良い映画でしたね。
ラストのダンスは予想がつきましたが、笑いました。
爺ちゃん最高です。
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ダンス (ningyo)
2008-02-02 20:16:46
ダンスのところは
家族と一緒に「あああ…」でした。
でも、あの家族の真骨頂だな、と泣き笑いしました。
素敵な映画でした。
今年もよろしくお願いします。
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