THE MOTORCYCLE DIARIES
監督: ウォルター・サレス
出演: ガエル・ガルシア・ベルナル エルネスト・ゲバラ・デ・ラ・セルナ
ロドリゴ・デ・ラ・セルナ アルベルト・グラナード
ミア・マエストロ チチーナ
1952年のアルゼンチン。喘息の持病を持ちながらもアグレッシブに生きるエルネストは、友人のアルベルトと南米大陸を古ぼけたバイクで旅をする。アルゼンチンからパタゴニアへ、そしてアンデス山脈を越えてチリの海岸線に沿って進み、ベネズエラのカラカスを目指す貧乏旅行。
20世紀の伝説的な革命家チェ=ゲバラの若き日の旅。ゲバラはまめに日記を残しているが、私が読んだのは文庫の「ゲバラ日記」で殺される直前のものだけ。それだけでも、ゲバラという人がものすごく率直で、本音と建前なんて分けたり絶対にする人ではないことがわかる。彼はベストと思われることをすぐに、それに伴う自らの犠牲への保留をまったく入れずに出来る人間だったようだ。あちこちでお目にかかる有名な写真を見ても実に魅力的、ただ整っているだけではない、強烈な魅力のある男だったのもよくわかる。
この映画では彼が革命家になる動機を形作ったらしい旅の道程が、彼が見たものを我々にも見せながら進む。弱いものが社会の負の部分を背負わされる現実を彼は彼の全体で受け止める。20世紀は戦争の世紀で、また共産主義の実験の世紀であったとも言われるが、「この現実がこのままでよいはずがない」という真摯な思いが社会主義にたどり着くのは、この時代ではある意味自然かもしれない。
誕生祝の夜の川を泳ぐシーンで涙が溢れて、それから先はエンドクレジットの音楽まで止まらない。
この映画を映画館のスクリーンで見られなかったのはかえすがえすも残念。草原の輝きや、夜の川の色など、家の小さな画面じゃなあ…と思う絵がいっぱいだった。
23歳のゲバラを演じるガエル・ガルシア・ベルナルも、今までのどの作品より魅力的だった。真面目で率直で剛直な若さを(本人並みと言えるかどうかはわからないけど)しっかり演じていた。アルベルト役はなんと本当にゲバラの縁者だそうだけれど、ゲバラにとってのバランス役になる陽気な友人が実にリアルに感じられた。最後のところで自分を決して見捨てないと信じきれる、一人の傷心の決着がつくまで、いつまでも黙って側にいる友が居るなんて、すごく贅沢な青春だと心底思わされた。
監督: ウォルター・サレス
出演: ガエル・ガルシア・ベルナル エルネスト・ゲバラ・デ・ラ・セルナ
ロドリゴ・デ・ラ・セルナ アルベルト・グラナード
ミア・マエストロ チチーナ
1952年のアルゼンチン。喘息の持病を持ちながらもアグレッシブに生きるエルネストは、友人のアルベルトと南米大陸を古ぼけたバイクで旅をする。アルゼンチンからパタゴニアへ、そしてアンデス山脈を越えてチリの海岸線に沿って進み、ベネズエラのカラカスを目指す貧乏旅行。
20世紀の伝説的な革命家チェ=ゲバラの若き日の旅。ゲバラはまめに日記を残しているが、私が読んだのは文庫の「ゲバラ日記」で殺される直前のものだけ。それだけでも、ゲバラという人がものすごく率直で、本音と建前なんて分けたり絶対にする人ではないことがわかる。彼はベストと思われることをすぐに、それに伴う自らの犠牲への保留をまったく入れずに出来る人間だったようだ。あちこちでお目にかかる有名な写真を見ても実に魅力的、ただ整っているだけではない、強烈な魅力のある男だったのもよくわかる。
この映画では彼が革命家になる動機を形作ったらしい旅の道程が、彼が見たものを我々にも見せながら進む。弱いものが社会の負の部分を背負わされる現実を彼は彼の全体で受け止める。20世紀は戦争の世紀で、また共産主義の実験の世紀であったとも言われるが、「この現実がこのままでよいはずがない」という真摯な思いが社会主義にたどり着くのは、この時代ではある意味自然かもしれない。
誕生祝の夜の川を泳ぐシーンで涙が溢れて、それから先はエンドクレジットの音楽まで止まらない。
この映画を映画館のスクリーンで見られなかったのはかえすがえすも残念。草原の輝きや、夜の川の色など、家の小さな画面じゃなあ…と思う絵がいっぱいだった。
23歳のゲバラを演じるガエル・ガルシア・ベルナルも、今までのどの作品より魅力的だった。真面目で率直で剛直な若さを(本人並みと言えるかどうかはわからないけど)しっかり演じていた。アルベルト役はなんと本当にゲバラの縁者だそうだけれど、ゲバラにとってのバランス役になる陽気な友人が実にリアルに感じられた。最後のところで自分を決して見捨てないと信じきれる、一人の傷心の決着がつくまで、いつまでも黙って側にいる友が居るなんて、すごく贅沢な青春だと心底思わされた。